R指定が付くのに世界的に大ヒットしたマーベル・ヒーロー映画『デッドプール』

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Photo by Lauris Rozentals on Unsplash
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アクションコメディが最終的に愛の物語に着地するアクロバティックムービー

R指定が付くのに世界的に大ヒットしたマーベル・ヒーロー映画。ライアン・レイノルズがデッドプール役を演じるのは2009年の『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』以来。

自らプロデュースを買って出て、今度は原作に忠実なキャラ造形を心がけ、自虐ギャグもぶっ込み、役者としてブレイク。

同じくティム・ミラー監督と彼の主演で『2』も! 

館理人
館理人

『デッドプール3』も製作されています!公開日等の情報はこれからです!!(2020年3月現在)

 一言で述べるなら“アクロバティック”な映画なのである。

 ご存知、異色のアメコミヒーロー、マーベル・コミック原作の『デッドプール』。

 オープニングクレジットからすでに悪ノリが始まり、主人公のデッドプール(通称デップー)はタクシーの運ちゃん相手にひとしきり喋り倒し、目的の場所へ。

 そこは高速道路で、デップーは欄干に腰かけ、子供のように両足をブラブラさせながらお絵描きタイム。

 どうやらその下手くそな絵はフランシスという名の憎き敵らしい。

 と、突然、カメラ目線でなんと「観客の皆さん」と話しかけ、眼下にお目当ての一団がやってくるや「頑張っちゃうぞ」とダイブし車のルーフを突き破って、戦闘開始!

 射撃の腕は超一流、背中には二刀流を忍ばせて、デップーは華麗なるアクロバティック殺法でバッタバッタと敵どもを倒していく。

 戦闘中も“おしゃべり”は止まることなく軽口をたたき続け、またも唐突に、我々に向かって大胆にも語りかけるのだった。

「こうした殺人で始まる愛の物語もあるんだ。この映画はラブストーリーだ」と。

 そしてここで画面は、デップーが手製の真っ赤なコスチュームを身に付けることになる前、本名ウェイド・ウィルソン時代へと遡る。

 運命の女(ひと)との出会い。一年中楽しくヤリまくり、ついにプロポーズした矢先のまさかの末期がん宣告……と、振り幅の大きなウェイドの人生。

 それは人体実験によるミュータント化、不死身の肉体だが全身爛れた醜い姿となった現在のデップーに引き継がれ、映画は巧みに時制を往来させて、両者を簡潔に描写する。

 時制が変わるたびに、カメラ目線になる奇矯なおしゃべりキャラを成立させた主演ライアン・レイノルズの力も大きい。

館理人
館理人

ライアン・レイノルズの新作『フリー・ガイ』は2020年8月公開予定です。平凡すぎるヒーロー映画!

 本作はそうして、振り切ったアクションコメディながら最終的には愛の物語、しかも感動的なラブストーリーへと着地し、見事にアクロバティックな離れワザをみせるのであった。

轟

週刊SPA!2016年10月11日発売号掲載記事を改訂!