高田渡の音楽世界に迫るドキュメンタリー映画『タカダワタル的』の語り口は五代目古今亭志ん生?

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Photo by Scott Gruber on Unsplash
館理人
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高田渡の音楽とは。

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フォークシンガー高田渡のドキュメンタリー映画です。プロモーションビデオとは全然違う、ドキュメンタリーならではのアプローチで、人間・高田渡に迫ります。

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監督はタナダユキ。出演は本人・高田渡ほか、柄本明など。2004年の映画です。

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ちなみにタナダユキ監督の新作『ロマンスドール』は2020年1月24日公開のヒット上映中です!

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高田渡は2005年に亡くなりました。その後、ドキュメンタリー2作目『タカダワタル的ゼロ』が作られ、公開となりました。

こちらの監督は 白石晃士。

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詳しくはレビューにて!

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150日間密着し、高田のホームタウン・吉祥寺を共に歩き、自宅まで押しかけ、しかしライブを中心とした構成でみせる

 『PNDC/エル・パトレイロ』公開時のこと、来日した監督アレックス・コックスを迎え、青山墓地にて花見が開かれた。

館理人
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『PNDC/エル・パトレイロ』はメキシコの腐敗した警察を描いてます。

 宴もたけなわの頃、ひとりの酔人が倒れるように路上で寝ているのを見た。高田渡だった――。

 このフォーク(&ブルース)の巨人を知る者なら誰もがこういった“型破りで伝説的”なエピソードを2つ3つは持っているはずだ。

 だが、音楽ドキュメンタリー映画『タカダワタル的』は(きっと数多くあったであろう)ハプニング的な場面は捨象し、演奏シーンを中心に編まれている。

 五代目古今亭志ん生を彷彿とさせる絶妙な語り口と味わい。

 佐久間順平、中川イサトら気のおけない仲間たちと、息子の高田漣(ペダルスチール奏者)との息の合った競演。《生活の柄》《鎮痛剤》《ブラザー軒》などなど、名曲が次々と。

館理人
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CDゴールデンベストには「生活の柄」「ブラザー軒」が収録されてます。

 PFFグランプリ作『モル』(2001年)のパンキーな作劇から一転、監督のタナダユキは150日間密着し、高田のホームタウン・吉祥寺を共に歩き、自宅まで押しかけ、しかしライブを中心としたスタイルを選択した。

 生半可に分かった気にさせる“型破りで伝説的な”エピソードに逃げず、ひとつひとつの曲をしっかり聴かせようという意志。そこにあるのは山之口貘、菅原克己といった詩人たちのフレーズに曲をつけたミュージシャンへのリスペクトだ。

 これが単なるライブ映画ではなく1本のドキュメンタリーとして成立しているのは、やはり高田渡というカメラに動じぬ存在の強さがあったからだろう。演歌師・添田唖蝉坊の系譜上に立つ“しなやかな反骨”とでも名付けてみたい強さ!

 では制作者側は彼のプロモを作ったのか? 違う。

 冒頭を1970年“中津川フォーク・ジャンボリー”、ラストを“春一番2003”、その両ライブで唄われた「ごあいさつ」(作詞・谷川俊太郎)で作品全体を包んだ。変わらぬもの、そして変わってしまった何かを観客各々に反芻させる趣向なのだ。

 上映時間は65分。もっと観たい! と思うのはアンコールを望む観客の常だが、もう少し長尺でもよかった。

轟

キネマ旬報2004年6月下旬号掲載記事を改訂!

館理人
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文中に登場してきたタイトルを探す場合は、配信サービスでは見つけづらいので、レンタルDVDサービスや宅配レンタルサービスを利用するといいかもです。