日活ロマンポルノおすすめ復刻コラム『百恵の唇 愛獣』そっくりさん!

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館理人
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こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。

館理人
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その前にロマンポルノ解説を少々。

館理人
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ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。

詳しくはこちらで紹介しています。

館理人
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前置き以上!

あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。

データ

1980年
監督:加藤彰
出演:日向明子、泉じゅん、村川めぐみ、早川由美、村川由美、小林稔侍 脚本: 桂千穂

そっくりさん主演の大胆野心作

(轟夕起夫)

Photo by brandon hoogenboom on Unsplash

 山口百恵は菩薩であると、平岡正明は言った。

館理人
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冒頭から暴走してますので、一応おことわりです。

言うまでもないでしょうが、山口百恵さんも、平岡正明さんも、この映画とは関係ありませんっ。

 山口百恵のことは初め、あまり好きではなかった。むしろ、嫌いなほうだった。
 ……などと、薮から棒に書き出しているのだが、これは俺のガキの頃の話だ。

館理人
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大切なので2度、言います。山口百恵さんは映画とは関係ないです。

 1973年、14才でデビュー。“青い果実”を売り物にした(させられた)アイドル時代。俺は彼女を冷ややかに眺めていた。

館理人
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山口百恵さん語りを続けたいようですね。

 1976年を境にして、“横須賀ストーリー”を背負ったブルージィで“曼珠沙華”のような魅力を放つ歌い手へと変貌。1980年の引退までスーパースター“百恵伝説”を築きあげていくわけだが、そのさなかにも、とりたてて興味を抱けなかった。

 どうしてだろう?

 それはひとえに、俺が文字通りガキだったからである。怖かったのだ。自分より4才違うだけなのに、どこか彼女からは修羅を秘めた、女の性(さが)が生々しく匂っていた。“過去”という名の修羅が。いま考えるとそう思う。

 山口百恵は、結婚&引退と同時に自伝本『蒼い時』を発表し、大ベストセラーを記録した。そこには赤裸々に出生の秘密が記されていた。そう、彼女が何度も主演してきた大映ドラマ、『赤』シリーズのような“私生児”の記憶が!

 『百恵の唇 愛獣』はそんな流れの中、絶妙なタイミングで作られたロマンポルノだ。

館理人
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あやかりタイトル、多いですロマポ。

 1980年11月19日、三浦友和と結婚式をあげ、芸能活動を引退した彼女へのご祝儀(!)として、12月26日に封切られたのがこの『百恵の唇 愛獣』なのだ(しかも百恵最後の主演映画『古都』が公開されている真っ只中)。

 なんという大胆な手口。なんという野蛮な時代よ。

 主演はソックリさんゆえ“ポルノ界の百恵”と呼ばれた日向明子。セックスを武器にスキャンダル情報を手に入れ、人気タレントを破滅に導くトリックガールなる役柄。結婚&引退間近のスター(泉じゅん)の過去を探り、そのマネージャー(小林稔侍)と一戦二戦交えることに。

 おっと、ここで百恵の名曲が!「ちょっと待ってェ、プレイバックっ、プレイバックっ」

 てなわけで、「NHK特集 山口百恵 激写/篠山紀信」(1979年放映)に挿入された、野坂昭如のこんなコメントを紹介しよう。

 「スターとかヒットメロディーというのは、将来に向けてのタイムマシンみたいな役割を担っている。僕自身この時代を振り返るとき、山口百恵というスターの存在とかこつけて振り返るであろう」

館理人
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作家、作詞家で、歌手、タレント、政治家の野坂昭如さん。『火垂るの墓』の原作者でもあります。

 いまや“夢先案内人”山口百恵は、完璧な「過去」=百恵伝説を手に入れている。彼女にとってはこの大胆なロマンポルノも、単なる可愛い“イミテイション・ゴールド”の一つにすぎない。

館理人
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以上、山口百恵さんが偉大すぎる、ってお話でした。

轟

月刊ビデオボーイ2002年3月号掲載コラム原稿より!

館理人
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『百恵の唇 愛獣』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)

館理人
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