読む映画リバイバル『ウィッカーマン』

オリジナルのエロさと牧歌的な味わいはない。ただ、ニコケイという笑いが加わっている!

(2008年1月15日号より)

 映画には“孤島モノ”というジャンルがある。今回ご紹介する『ウィッカーマン』はまさに“孤島モノ”の代表作。ただしリメイクで、オリジナルは73年イギリス産のカルトムービーだ。コミック狂にして、珍奇な映画愛好家ニコラス・ケイジが自らプロデューサーを買って出て、主演も務めている。

 彼が演じているのは、心に傷を持つ白バイ警官。と、姿を消した元婚約者が8年ぶりに手紙をよこし、行方不明になった娘のローワンを捜してほしいと頼ってくる。そこから舞台はある孤島へと移る。少女捜索のミステリアスな旅が始まるわけだが、この映画は基本、2つの大きな要素で構成されていくことになる。「島の中でのフシギな出来事」と「ニコラス・ケイジの困った顔」だ。

 蜂の世界を擬したような女性中心社会。怪しい村人たち。ケイジの眉間に刻まれるシワの深さに比例して、島の謎に対する不安感と、何とも言えぬ、ミョーな可笑しさが広がっていく。

 オリジナル版にあったエロさと、フォーキーで牧歌的な味わいは、なくなってしまった。しかしこちらはケイジのナビによる“秘境ぶらり旅”が、観る者を笑いに誘う。結果、ラジー(最低映画)賞5部門にノミネートされてしまったものの、それもご愛嬌。“ひとり相撲”を取りながら伏線を張り巡らし、島中を奔走したあげくの衝撃のラスト、ケイジの究極の困り顔がお楽しみ。

 オリジナルはキリスト教と原始宗教との対立が見モノだったが、今回の改変では「昔の女にゃ気をつけろ!」という生々しいメッセージも。2度の離婚者、ケイジの心の叫びとみた。

※ ※ ※ ※ ※

失踪した少女を探しに孤島を訪れた警官と島民の対立、驚愕の顛末を奇抜なタッチで綴る。カルト映画マニアだった故ジョニー・ラモーン(ラモーンズのギタリスト)が73年版を親友ニコラス・ケイジに見せ、リメイクを遺言で勧めたらしい。なのでラモーンズのファンは新旧ともに必見。

[週刊SPA!掲載]
●監督:ニール・ラビュート●出演:ニコラス・ケイジ、他●2006年●アメリカ