バカバカしい本気エンタメ!面白いメキシカン系ガンアクション映画『デスペラード』のご紹介! アクション映画でヒットを連発するロバート・ロドリゲス監督の初期作です。
レビューをどうぞ!
ギターケースが仕込みの武器!
【レビュー】
その男は、噂通りギター・ケースを片手に、酒場へと姿をあらわした。
「ケースの中身はなんだ?」
どう眺めてもゲス野郎にしか見えないバーテンがそうたずねて数秒後、酒場にはダダダダダダダアーンと鉛の集中豪雨が降りそそいだ!
Hey、アミーゴ、マリアッチの登場だゼイ。マリアッチとはご存知スペイン語で 「メキシコ伝統の音楽および音楽家」のこと。とっころがコイツはギター・ケースの中に必殺の武器を仕込んでた、ってえわけだ。
バ、バカでえ〜。
いやあホント、バッカバカしくもなんともオチャメなアイデアである。考えついたのは当時26才の俊鋭ロバート・ロドリゲス。すでに1992年、人体実験のアルバイト代+映画仲間が土地を売った金を元手に、わずか7千ドル(これって当時の通常のハリウッド映画の約1/4000!)で自主製作した『エル・マリアッチ』にて試し済みのバカアイデア。それにハリウッドが大枚はたいたと。
いやいや正確にいうならば、こんな荒唐無稽なアイデアを面白く撮りあげちまうロドリゲスの腕と将来に賭金をはったのだ。
さてさて。ストーリーがまた、サルでもわかるシンプルさ。恋人を殺し、自分の右手を撃ち抜いた麻薬王への復讐を果たすため、アントニオ・バンデラス扮するマリアッチが町にあらわる、というもの。しかし展開がダレ気味になると、いちいちもの凄え銃撃戦が度肝を抜きやがる。飽きさせることを決してしないのだ。
しかも、あまりにトゥマッチでスラップスティックなアクションがほとんどギャグの域に達している。要するにラテンの血が画面にたち騒いでいる。それを全身で体現しているのが、カッチョよすぎてカッチョわるさと紙一重になった、アントニオ・バンデラスの「ファイト一発」顔なのであった。
例の、ギター・ケースの元ネタが、棺桶の中にガトリング銃を仕込んだ『続・荒野の用心棒』であるように、サム・ライミやクエンティン・タランティーノ(本作ゲスト出演)同様、マカロニ・ウエスタン(そしてサム・ペキンパーとジョン・ウー)の劇画的世界の現代的再生を目指している。どうやら賭金は、これからも倍になって返ってきそうな勢いだ。
(轟夕起夫)
ドクターピカソ1995年12月22日発売号掲載記事を改訂!
ロバート・ロドリゲス監督はこの映画のあとも主にアクション映画でヒットを飛ばし続けています。『シンシティ』シリーズ、『スパイキッズ』シリーズ、『マチェーテ』シリーズ…。2019年の『アリータ:バトル・エンジェル』は世界的大ヒットとなりました!
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