スティーブン・キングの原作をマーク・L・レスター監督が映画化、主演がドリュー・バリモアの『炎の少女チャーリー』をレビューにてご紹介です。
公開当時は原作者スティーブン・キングも擁護なしだった、まだCG導入以前の“手づくり”B級ムービー
共演者が大変豪勢。アート・カーニー、ルイーズ・フレッチャー、ジョージ・C・スコットと、オスカー受賞名優がそろい踏み。
特にスコットが演じた殺し屋の変態ぶりに、上司役マーティン・シーンが呆れた顔を見せる場面は笑えます!
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数年前にリメイクのニュースがあった『炎の少女チャーリー』。
言わずと知れたスティーブン・キング原作で1984年に公開された映画だが、あのリメイク話、一体どこへ行っちゃったんだろう?
な〜んてコトを思い出した。
主演は当時8歳、『E.T.』の演技で“天才子役”の名を欲しいままにしていたドリュー・バリモア。
しかし封切り時、(彼女の芝居はさておいて)この映画の評判は良くなかった。原作者のキングも擁護することなどなく、バッサリと切り捨てた。
だが! これが時の流れによって何とも味わい深い作品に変わっていた。早い話が、パイロキネシス(自然発火)能力を身につけた少女のサバイバル劇。
まだCG導入以前の“手づくり”B級ムービーである。
政府の薬物実験を受けた両親から生まれ、幼少期から早くも彼女の「受難の人生」は始まる、という設定が、女優ドリュー・バリモアの波瀾の歩みとダブって見えるのだ。
ドリュー・バリモアについては、『デート・ウィズ・ドリュー』のレビューでもざっくり紹介してます!
同じく超能力を持つ父親と共に逃げ回ったあげく、政府の特殊機関に捕まり、幽閉され、人体実験を強制されるチャーリー。
クライマックスには怒髪天を衝き、怒りのロケット花火、炎の大玉を「ファイヤー!」と飛ばす。
一方の炎の少女ドリューは10代にして、アルコールとドラッグ依存、自殺未遂といったスキャンダル花火を本作の後に連発。
理由の一端には性格破綻者であった父親のせいもあって、ドリューは愛に飢えていた。
劇中、父親の身を案ずるチャーリーの姿は「こうありたかった」というドリューの本音のよう。
ご存知のとおり、奇跡のV字回復を果たし、女優のみならず製作者、監督としても成功、プライベートでも2児の母となった彼女は現在45歳(2020年現在)、3度の離婚歴あり。
これはもう自ら『炎の少女チャーリー』をリメイクしてほしい。主演はむろん我が子が8歳になったときに、ぜひ!
週刊SPA!2016年5月24日発売号掲載記事を改訂!