【加山雄三】若大将の頃を振り返る復刻インタビュー&本人が紹介する出演映画8本!

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館理人
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加山雄三さんのインタビュー原稿を復刻です!

館理人
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このインタビューは2005年、加山雄三さんが68歳のときに行われたものです。68歳で、初のニューヨーク&ロサンゼルスのカーネギーホールでのコンサートにチャレンジする前のタイミングでした。

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主にご自身の1960年代を振り返ってもらい、『若大将』シリーズほか、当時の出演映画についても語っていただいています!

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加山雄三 プロフィール

かやま・ゆうぞう
1937年4月11日 神奈川県横浜市で生まれ、幼少時に茅ヶ崎へ。
1960年『男対男』で映画デビュー。現在まで70本以上の作品に出演。
代表作は『若大将』シリーズ(1961〜1981年)ほか多数。
ミュージシャンとしては1961年、「夜の太陽/大学の若大将」をリリースして活動開始。
代表作に「夜空の星」「君といつまでも」「旅人よ」「海 その愛」など。
映画出演はほかに、『日本のいちばん長い日』(1967年)、『八甲田山』(1977年)、『零戦燃ゆ』(1984年)など。

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『若大将』シリーズとは

東宝が加山雄三主演で、1961年から1971年まで製作した青春映画のシリーズ名。全17作(1981年には芸能生活20周年記念作品として『帰ってきた若大将』も)。
社長シリーズ(主演:森繁久彌)、駅前シリーズ(主演:森繁久彌、共演:フランキー堺・伴淳三郎)、クレージー映画(主演:植木等、共演:谷啓ほかクレージーキャッツの面々)といった人気作と共に、1960年代東宝映画を代表するシリーズ。
加山演じる若大将・田沼雄一ほか、主要登場人物のキャラクターはシリーズを通して共通しているが、ストーリーに繋がりはなく、1作ごとに設定が違っていて、完結している。

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関連記事として、こんなのもありますので、よろしければ!

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では!インタビューをどうぞ!

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加山雄三 インタビュー〜若大将の頃を振り返る

(インタビュー・文 轟夕起夫)

 エンドレスサマー。終わらない、永遠の夏。

 1960年代の煌めきは、しばしばそんなふうに呼ばれる。寄せては返す数々のブーム。波の頂点をワン&オンリーの才能、スターたちが彩った。加山雄三もまたそのひとりである。

 例えば1961年の波を見てみよう。大ヒット映画というウェイブ、1本は明朗快活な主人公、田沼雄一の活躍を描いた『大学の若大将』。以後、流行のスポーツやトレンドを取り入れながら、“若大将”は加山雄三の分身となり、人気シリーズとなった。

 そしてもう1本は黒澤明監督の名作『用心棒』なのだが、翌1962年、この時代劇の姉妹編『椿三十郎』に加山は参加。2つの波が混ざり合ったとき、伝説的なエピソードが生まれたのだった。

加山 当時は俺、毎朝5時半ぐらいからサーフィンやって、それから撮影所に8時ごろ行ってたんだけど、着くともう疲れきっててさ(笑)。黒澤さんは現場でとことん粘る監督で、俺は台詞のないシーンだったんだが、共演者のNGで何度もやり直しているうちに居眠りしちまったんだな。ハッと気がついたらシーンとしていて、黒澤さんがやってきて、ぶん殴られるなあっと覚悟したら「加山眠いのか?」って。「ハイ眠いです」「よし、加山のために30分休憩、外行って寝てこい!」って。30分どころじゃなく、3時間ぐらい寝たよ(笑)。

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黒澤明監督関連についてはこちらに記事があります。

 若大将 in 黒澤組。夏休みのように大らかな、天晴れなやりとり。加山雄三の豪快な魅力はあのクロサワをも引きつけていたわけだ。波の動きは止まらない。1965年、日本中にマカロニ・ウエスタンのブームが巻き起こった。火付け役はクリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』。言うまでもなく元ネタは『用心棒』だ。黒澤映画が海を渡り、イタリアで西部劇になっていたのだ。

 その頃、黒澤自身は『赤ひげ』を世に放っていた。そこには『若大将』シリーズ他を休んで1年間、役に専念して新境地を開いた加山がいた。が、舞台裏はやはり豪快だった──。

加山 黒澤さんに「作品をかけ持ちしないでくれ」って頼まれて。結果、1年間暇で仕方なかったな(笑)。夏は海で真っ黒になった。モノクロ作品だったから、いくら焼けても構わなかったんだ。出番がないと船に乗ったり泳いだり、サーフィンをやったりしていた。

 1965年にはさらに別の大きな波がやってきた! ザ・べンチャーズ発のエレキ・ブーム。タイミングよく公開されたのが『エレキの若大将』である。

 1966年1月、全曲オリジナルの1stアルバム『加山雄三のすべて〜ザ・ランチャーズとともに』を発表。6月にはザ・ビートルズが来日。何と加山は、ビートルズの宿泊するヒルトン・ホテルを訪ね、語らいの時を持ったという。

 やがてエレキ少年たちはグループサウンズ(GS) ブームへと飛び込んでいき、その影響を受けながらも『若大将』シリーズはマイペースで続いた。

加山 毎回同じ台詞が書いてあって、青大将役の田中邦衛さんと「どうする?」「変えるしかないよね」って現場でずいぶん二人して直したよ。青大将がいなければ若大将も存在しなかった。コンビの面白さが命だったからね。

 さて。あれから幾年月が経った。サーフィンも黒澤映画もマカロニ・ウエスタンもビートルズもGSも、世代を超えて未だに熱狂を呼ぶアイテムだ。むろん『若大将』シリーズと加山雄三も。

 いくつもの波を起こし、うねりに乗って大海を進み、今年はデビュー45周年。

加山 (2005年)10月にはLA、NYのカーネギーホールでもやります。68才で出るヤツは初めてじゃないかって。ミュージシャンはギタリストの吉川忠英にベースのロン・カーターほか40人ほど。フルストリングスで歌うんだ!

 終わらない、永遠の夏。エンドレスサマーとは、煌めき続ける加山雄三のことでもある。

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加山雄三が自ら見どころ解説! 加山雄三映画おすすめ8本!

『椿三十郎』(1962年)

監督:黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、入江たか子、ほか

加山 主役ではないけれど、これはぼくの人生を左右した映画だね。俳優をいつ辞めようと考えていた時期に、この作品で黒澤明監督に出会えたんだ。こんな素晴らしい人がいるんだったらこの世界に残ろう、と思えたんだよ。

『エレキの若大将』(1965年)

監督:岩内克己
出演:加山雄三、星由里子、 田中邦衛、江原達怡ほか

加山 若大将シリーズの中で一番思い出深い作品かな。なんといっても大ヒット曲の「君といつまでも」と、ぼくが最初に作曲した「夜空の星」が使われているしね。映画の曲が350万枚も売れるなんて当時としては異例の事だったんだよ。

『赤ひげ』(1965年)

監督:黒澤明
出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、香川京子ほか

加山 ぼくの役柄の保本登と赤ひげ先生の関係が、黒澤明監督とぼく自身の関係にだぶって思えてきてね、そこが嬉しかったな。撮影期間は1年もかかって大変だったけど、黒澤さんのリアリズムの表現の仕方に感銘をうけたね。

『豹ジャガーは走った』(1966年)

監督:西村潔
出演:加山雄三、田宮二郎、加賀まりこ、高橋長英ほか

加山 若大将シリーズと違って笑顔が全くないハードボイルドな作品でね、その辺りのギャップを楽しんでほしいね。共演の田宮二郎さんとの激突が見どころかな。ぼくの出演作の中では異色だけど、こういう作品もまたやりたいね。

『アルプスの若大将』(1966年)

監督:古澤憲吾
出演:加山雄三、星由里子、田中邦衛、江原達怡、ほか

加山 ぼくはスキーで国体に出たことがあるんだ。だから、大回転のシーンもアルプスで滑っている姿も吹き替えを使わずにみんな自分でやったんだよね。ぼくのスキー姿を見てよ!(笑)。スイスの美しい街並みも見どころだと思うよ。

『南太平洋の若大将』(1967年)

監督:古澤憲吾
出演:加山雄三、星由里子、田中邦衛、前田美波里、ほか

加山 海は心の故郷だと思っているんだけど、初めて南太平洋に行ったときにその美しさに魅せられてね。若大将シリーズを南太平洋でやろうと、ぼくから提案したんだ。沈没船もあったし、ドラマチックな演出ができるんじゃないかと思ってね。

『狙撃』(1968年)

監督:堀川弘通
出演:加山雄三、浅丘ルリ子、森雅之、岸田森、ほか

加山 この映画はNYでロングランヒットしたんだ。ところがそのあとに本当に狙撃事件が起こって、上映禁止になったのが印象深くてね。本物のライフル銃やショットガンを使って撮影していて、クレー射撃のシーンでは実弾も使ったよ。

『帰ってきた若大将』(1981年)

監督:小谷承靖
出演:加山雄三、田中邦衛、坂口良子、アグネス・ラム、ほか

加山 もう若大将シリーズをやるとは思わない時期にお話をいただいてね。ニューヨーク・シティー・マラソンのために1カ月半くらい、走って走って練習を積んだなあ。撮影の時には、途中で車に乗って先回りもしたけどね(笑)。

轟

月刊スカパー!2005年7月号掲載記事を再録!