こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
『夢犯』データ
1985年
監督:黒沢直輔
出演:赤坂麗、志水季里子、梅田浩、内藤剛志、他 脚本・原作:石井隆 音楽:峰善雄
女スナイパーと左幸子の関係…?
(轟夕起夫)
映画女優の左幸子さんが亡くなった。
このコラム記事は2002年1月号の雑誌に掲載されたものとなります。左幸子さんは 2001年11月に亡くなられました。
享年71。肺ガンだった。11月9日に通夜が行われ、10日に密葬された。親族や知人など約100人が見送ったという。死去の事実は故人の遺志で芸能関係者には伏せられていた……これじゃ渥美清のときと同じではないか!
俺は、渥美さんが亡くなられた際に、この大女優に取材している。『拝啓天皇陛下様』 (1963年)で共演しただけでなく、彼女と渥美さんは親交を結んでいたからだ。
左さんの追悼記事となってますが、この後『夢犯』についても大真面目に語ってますので、しばし…
実をいうと左さんとお会いするのは初めてではなかった。同じく1996年、ある雑誌でのインタビューを縁に、何度か御自宅にも招かれたりしていた。目を閉じればいくつかの想い出が浮かんでくる。
左という芸名の由来はこうだった。スカウトされ、たくさんの候補の中から残った二つの名字。左には彼女の出身地、北陸の山峰にちなんだ「立山」。右にはタカラジェンヌのようなそれが並んでいて、「どちらにしようかナ神様の言うとおり」と迷いながら、右、左を比べるうちに、左、左の幸子……左幸子とゴロがいいから決めてしまったのだそう。
そんなふうに、何事も思いっきりよく決断し、人生を切り開いてきた方だった。
どうぞ、しばし!
『幕末太陽傳』『暖流』『彼女と彼』『にっぽん昆虫記』『飢餓海峡』『喜劇 女生きてます』『軍旗はためく下に』──。
そして自身の監督作品『遠い一本の道』。
たくさんのお話を伺った。だが、日本映画の現状にまで言葉が及ぶと、ときおり、ポルノへの批判的な意見を耳にした。
『夢犯』(1985年)は、石井隆原作&脚本、黒沢直輔監督の、そんなロマンポルノの1本である。当時の人気美人女優・赤坂麗が、スナイパーを演じた女殺し屋モノだ。
まあ、標的(内藤剛志!)の写真を毎日眺めているうちに情が移ってしまったりして、スナイパーとしては失格なのだが、快哉を叫びたいほど素晴らしいシーンもある。
手配師とトラぶって、闘うことになり、地下の駐車場で足を撃たれ、口に銃身をつっこまれたヒロイン。だが女は感じたフリをして手を相手の首に回す。指には必殺の針が。
刺す。そこに別の敵。アップ。女の口もとから激しく飛ぶ血反吐。ストップモーション。銃を構え、一瞬にして仕留める!
カッコイイ。
そばには、ケツまるだしで殺された男。マヌケだ。しかし、女は泣いても犯されどんなカッコをしても、画になる。男はそうはいかない。それを教えてくれたのが『にっぽん昆虫記』で、崇高な放尿シーンを演じた左さん、貴方だった。さようなら……安らかに。
文中で語られている左幸子さんへのインタビュー記事は、こちらになります。よろしけばこちらもどうぞ!
ビデオボーイ1999年12月号掲載記事を改訂!
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ロマンポルノを鑑賞するための動画配信サービスについては、こちらに検証記事があります!
石井隆原作脚本のロマンポルノは、他にこちらもあります。