復刻 映像エンタメ仕事人インタビュー【作曲家・岩代太郎】

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館理人
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映像エンタメのインタビュー記事は、その作品の「顔」となる俳優さんや、スタッフ全体を牽引する監督さんについてのものが多いですね。

館理人
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そんな中、俳優・監督以外のさまざまなプロにお話をうかがった記事についても、これまでにけっこう携わっております、当館の映画評論家・轟。

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映像のスタッフ陣には、さまざまなジャンルのすごいプロたちがいらっしゃいます。そんな方々のインタビュー記事を復刻です。

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今回の復刻は、作曲家 岩代太郎さんのインタビュー記事!お仕事に対しての考え方や、この仕事を始めるきっかけなどもについても、うかがっています。

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音楽を担当した映画『許されざる者』(2013年 監督:李相日 出演:渡辺謙、佐藤浩市、ほか)が公開されたタイミングで行われたインタビューとなります。

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岩代太郎 経歴

いわしろ・たろう
1965年、東京都出身。

教育者の岩代吉親を祖父に、作曲家の岩代浩一を父にもつ。
音楽活躍は多ジャンルに及び、2006年より東京都交響楽団の理事に就任、2008年の北京オリンピックではシンクロナイズドスイミング日本代表の音楽を手掛け、 2009年には「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」のため奉祝曲 組曲「太陽の国」を作曲。

音楽を担当した映画については、以下他多数。
『殺人の追憶』(2003)監督:ポン・ジュノ
『血と骨』(2004)監督:崔洋一
『蝉しぐれ』(2005)監督:黒土三男
『闇の子供たち』(2008)監督:阪本順治
『レッドクリフPart 1』(2008)監督:ジョン・ウー
『レッドクリフ Part II 未来への最終決戦』(2009)ジョン・ウー
『利休にたずねよ』(2013)監督:田中光敏
『武士の献立』(2013)監督:朝原雄三
『許されざる者』(2013)監督:李相日
『魔女の宅急便』(2014)監督:宮崎駿
『The Crossing ザ・クロッシング Part 1、2』(2014,2015)監督:ジョン・ウー
『空母いぶき』(2019)監督:若松節朗
『新聞記者』(2019)監督:藤井道人
『Fukushima50』(2020)監督:若松節朗
『名も無い日』(2021公開予定)
『ヤクザと家族 The Family』(2021公開予定)

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『名も無い日』『ヤクザと家族 The Family』はともに2021年公開予定映画です。

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『名も無い日』は監督:日々遊一、音楽:岩代太郎、出演:永瀬正敏、金子ノブアキ、真木よう子、オダギリジョー、ほか。

2021年公開「名も無い日」予告編 未来チケット発売中
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『ヤクザと家族 The Family』は2021年1月29日公開予定です。監督:藤井道人、出演:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市川隼人、ほか

映画『ヤクザと家族 The Family』予告篇
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インタビュー記事本編の前に、まずは『許されざる者』についてのコメントを!

『許されざる者』

イーストウッドの西部劇をリメイク。人斬りと恐れられた元侍が賞金稼ぎに誘われ再び刀を手に旅立つ。

岩代 とにかく最後の最後、クライマックスで盛り上げるために、そこに至るまでは音楽はひたすら抑えています。ただし一音色だけ、主人公の釜田十兵衛の人殺しの業、を感じさせる音をつくり、全編ここぞというところにちりばめてまして。これ、口で説明するのは難しいんですが、「ミューン」っていう響きで、ギターの遠い親戚みたいな民族楽器の音をサンプリングし、いろいろ加工して生みだしました。

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では!本編どうぞ、インタビュー記事です。

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作曲家・岩代太郎 インタビュー

(取材・文 轟夕起夫)

 あのクリント・イーストウッドの名作に真っ向から挑み、舞台を江戸幕府崩壊後の北海道に変えて独自の世界観を築きあげた李相日監督の『許されざる者』。その音楽も当然、チャレンジすることに躊躇はしない。

 李監督とこの『許されざる者』で初めて組んだのは岩代太郎。ポン・ジュノ監督作『殺人の追憶』やジョン・ウー監督作『レッドクリフ』2部作など海外でも活躍する、名実共に日本を代表するコンポーザーだ。

第一線の人間の匂いを保ち、時代に合った音楽制作を探究したい

岩代 もうかれこれ、50本近くの映画に携わってきまして。いろんな監督とごいっしょしてきたんだけど、音楽に対する考え方って本当にそれぞれなんですよね。なので李監督に限らず、まずはどういった嗜好をもち、映画音楽に何を求められているかを探るところから僕の作業は始まるんです。

 打ち合わせの場で、李監督はこう明快におっしゃいました。「情に訴えかけるような音楽ではなく、人間が抱えている業の部分に焦点を合わせた音楽を書いてほしい」と。

 これは李監督からの挑戦状だ。岩代さんはエモーショナルな音色をつくりだす匠であり、希代のメロディメーカーなのである。

岩代 現代物、時代物にしろ、近年は確かにメロディアスな音楽を求められることが増えています。ところがそれを排したモチーフを与えられた。こういうスタートラインの仕事は珍しいし、トライアルで燃えました。

 しかも「海の向こうの観客にも届く、国境を超えていく音楽を書ける作曲家を探したら、岩代さんしかいなかったんだ」とまで言われた。まあ、そこまでの人間とは到底思ってはいませんが、うれしかったですし、またハードルの高さに身が引き締まりました。

 1977年、ベルリン・フィルの生演奏を聴き、小学生ながら「指揮者になりたい」と宣言。中学3年で「作曲家になる」と決心した。東京藝術大学の音楽学部作曲科に入学。1991年、同大学院の首席修了作品が「シルクロード管弦楽国際作曲コンクール」で最優秀賞を受賞し、同年にNHKスペシャル 『FASHION DREAM』でデビュー。この道で「やっていける」と確信したのは?

岩代 いつくらいかな。20代後半あたりじゃないですか、仕事を始めて3、4年目。当時はTVドラマがメインでした。その他、アニメにゲーム音楽、舞台…といろんなジャンルを手掛けてきましたね。

 行動の人である。ジョン・ウーのもとにみずから売り込みに行き、それが後に『レッドクリフ』につながった。信念の人でもある。昨年、国内外で絶賛されたヤン・ヨンヒ監督の『かぞくのくに』のような、小品であっても“関わるべき映画、には予算を度外視し、心血を注いできた。

岩代 単館系の作品は年に1本はやりたいですね。僕は制作枠、予算枠で仕事を選んでいるわけではなく、やっぱり台本の力に突き動かされているんです。『かぞくのくに』は予算がない分、全て自作自演になりました。大作で華麗なオーケストレーションを駆使する楽しさは望めないけれど、どのシーンにどんな音楽をどう入れるか、より細かく完全にコントロールできるおもしろさが小品にはあります。

 2013年3月、東日本大震災の復興支援を目的とする音楽プロジェクトの発起人を務め、CDアルバム「魂の歌」をリリースした。

岩代 僕を含め、8人の作曲家が書き下ろしたオーケストラの作品集なんですが、ひと回り以上も年の違う菅野祐悟くんや村松崇継くんに、「高校の頃からファンで、作曲家を目指すキッカケになりました」なんて言われると、うれしいけれども、君たち、そんなに若いんだって悲しくもなりました(笑)。

 若き世代には岩代さん、どんなアドバイスをするのだろうか。

岩代 君たちには負けないよ!って。僕は今、48歳で、キャリア的にはどこかの大学で教えていてもおかしくないんだろうけど、現場で年下の彼らと仕事をしたら、まだ教壇に立つのはやめておこうと思いました。第一線でやりつづけている人間の匂いを保ち、同じ地平で張り合うことが最大のエールでしょうから。日々のプレッシャーに打ち勝ってこそ、時代時代に合った音楽制作の在り方を、探求していけるのではないでしょうか。

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作曲家として印象に残る映画1本は?

館理人
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こんな質問に挙げていただいた1本が、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』です。監督:セルジオ・レオーネ、主演:ロバート・デ・ニーロ

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』

1984年公開。20世紀初頭のNY、2人のギャングの運命を、セルジオ・レオーネ監督が描いた一大叙事詩

岩代 初見は10代、挿入曲「アマポーラ」をカバーし、この名曲に引けを取らぬオリジナルスコアを書いたエンニオ・モリコーネのすごさにプロになって改めてシビレました。緩やかなテンポの音楽自体が映画全体を醸成しているんですよね。不動の一本です。

館理人
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巨匠!エンニオ・モリコーネが音楽を担当した映画に、『夕日のガンマン』『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』などなど…があります。

轟

DVD&ブルーレイでーた2013年9月号掲載記事を再録です