ジム・キャリーとユアン・マクレガー主演のドタバタラブコメのご紹介!
レビューをどうぞ!
ジム・キャリーの詐欺師を堪能!
【レビュー】
自分らしく生きるためには大金が必要と詐欺を働き、捕まっても、愛する人との生活を手に入れるために脱獄を繰り返した男。モデルはなんと懲役167年(!)で今もテキサスの刑務所に収監中の実在の詐欺師。その豪快アッパレな半生を描いたドタバタ、ラブコメディだ。
と同時にこれは、ウソと真実の間に境界線を引かなかった男の人生ドラマでもある。
ジム・キャリー演じる主人公は、もとは円満な家庭を持つ警官だったが、交通事故で命拾いしたのを機にゲイだと妻にカミングアウト。
「もうウソは嫌だ。俺はやりたいことをやる。ヤリたい奴とやる」と宣言し、理想のゲイライフを満喫する。だが、それにはカネがかかる。
保険金詐欺に手を染め、刑務所送りに。そこで知り合った囚人仲間のフィリップ (ユアン・マクレガー)と良きカップルになるも「職業は弁護士」とウソをつき、釈放後も詐欺行為を繰り返しまくる。
この男、事故に遭うまでもゲイのセフレはいた。注目すべきは、そんなに抑圧された生活を送っていたようには見えないところ。そして事故前は妻を欺き、事故後は実はフィリップのことも欺いている点。
詐欺師であるという本当の正体は明かしていないのだから。つまり、コインの表と裏がひっくり返っただけのことで、コイン自体は何ら変わっていないのだ。
では、コイツの人生はウソでまみれているのだろうか? 世間的には詐欺師でウソつきでも、彼は自らにはひたすら正直に生きている。本作が痛快なのは、人を欺く天賦の才能を持った男をひたすらポジティブに描いているからだ。
彼にとってウソと真実の違いは、バレるかバレないか。明快なる世界観である。同じくコロコロと人格を変える演技を生業とするも、人を喜ばせるのが役者で、人に迷惑をかけるのが詐欺師。カメレオン俳優のジム・キャリーがこの役を切望したというのはよくわかる。
「やりたいことをやる。ヤリたい奴とやる」ために、そこまでするのかと唖然とさせられる終盤の展開。キャリーの体技に存分に騙されてください。
週刊SPA!2010年10月19日発売号掲載記事を改訂!