アリシア・ヴィキャンデルの出世作のご紹介!
レビューをどうぞ!
人間もまたAIみたいにプログラミングされた存在なのでは…?
【概要】
『わたしを離さないで』『28日後…』など、脚本家として活躍してきたアレックス・ガーランドの初監督作。
イギリス本国やアメリカでカルト的人気を博し、第88回アカデミー賞では視覚効果賞を獲得している。なお“エヴァ”とは旧約聖書に登場する人類最初の女性イヴから付けられた。
【レビュー】
人工知能(AI)の実用化が、あらゆる分野に拡がっているのはご存知の通り。で、2045年にはそのAIが「人間を完全に追い越す」と言われている。
今までSF小説や漫画、映画で何度も描かれてきた未来が現実化してしまいそうだが、この『エクス・マキナ』も将来、“予言的な作品”として語られるのかもしれない。人間にではなく、AIが支配する世界において!
シェア率トップの検索エンジンを運営する巨大IT会社でプログラマーとして働く青年(ドーナル・グリーソン)が、抽選でカリスマ的な社長の自宅へと招かれることに。
人里離れた、大自然に囲まれた邸宅で彼を待っていたのは女性型の精巧なアンドロイド。
“エヴァ”と呼ばれるそれは社長が極秘に作ったもので、美形だが、胴体に腕、足のほとんどはスケルトン仕様で、内部構造が透けて見えている。
さて。オスカー女優アリシア・ヴィキャンデルによって体現された“エヴァ”は、はっきり言ってエロ可愛い。
不思議な倒錯美を湛えており、服を着て、ウィッグを付けるとまたいっそうギャップ萌えが発生する。
彼女は言葉を巧みに操り、熱視線を送って青年を誘惑しているようでもある。
搭載されたAIの完成度をテストするために彼は選ばれたのだが、案の定、次第に恋愛感情を募らせていく。
その様子を監視カメラで覗くのは“エヴァ”の創造主。全ては、この実験の首謀者の手中に収まっている、と思いきや、ところが監視カメラが起動していない停電中に“エヴァ”は目を盗んで画策するのだった。青年との逃避行を――。
人工知能とは言うまでもなく、精緻なプログラミングの上に作動するものだ。
では“エヴァ”には自意識があるのか? 映画は限定空間での心理サスペンス劇の色彩を帯びながらさらに、「人間もまた、AIみたいにプログラミングされた存在なのでは」という問題を浮上させる。
そしてやがて気づくであろう。テストをされているのは“エヴァ”でも青年でもない。実は、この映画を観ている我々だったのである、と。
週刊SPA!2016年11月22日号掲載記事を改訂!