恋をした相手が腐女子だったら……? 萌えながら楽しむラブコメの新しいカタチ『妄想少女オタク系』

Photo by Štefan Štefančík on Unsplash
館理人
館理人

2007年のコミック原作の映画です。腐女子な少女のおはなし! さっそくレビューをどうぞ!

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「好き」と「嫌い」の二分法ではない、単純には収まらぬ人間関係を探る

ごくフツーの高校生男子・阿部隆弘が恋したのは、全然フツーじゃない腐女子な高校生、浅井留美。

彼女は、阿部と彼の親友、千葉俊祐がデキてると信じて疑わなかった。

そこに腹黒な隠れ腐女子、松井曜子も絡んできて、大波乱が巻き起こる。

15万部を突破した紺條夏生の原作コミックの映画化。

監督の堀禎一は東大仏文科卒、ピンク映画界で頭角をあらわした俊英。

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 こういう青春ドラマの主人公が登場しても、何らフシギではない時代である。すなわち、“攻め”の反対語とは何か? と質問されて、本作のヒロインは平然とこう答えるのだ。「“受け”でしょ」と。

 “守り”ではなくて“受け”。BL(ボーイズラブ)において、コトに及ぶ場合、“受け”とはいわゆる女性役を指す言葉。そう、彼女は妄想たくましい、ディープな腐女子なのだ。

 その三つ編みのメガネ女子高生、浅井留美を演じるのは、『魔法戦隊マジレンジャー』のマジブルー役で人気を得た甲斐麻美。

 彼女のなりきりぶりが可愛く可笑しく、未だかつてないテイストのラブコメを成立させている。

 イケメン同級生の阿部くんに告白されても頓珍漢な応対をし、ますますヤオイ的妄想を暴走させたイラストを描いて部屋でほくそ笑む始末。

館理人
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阿部くん役、中山麻聖の出演作は、近作に『牙狼<GARO>-月虹ノ旅人-』など。こちら主演です。

 そんな二次元的思考の持ち主ゆえ、リアルな恋愛感情に乏しい女子なのだが、「阿部くんのこと、大佐って呼んでいい? 私のことは王子って呼んで!」「私の中の男子なボクが、阿部くんのこと、好きみたいだよ」などと名言を発しながら、彼女なりに現実を受け入れていこうとする。

 表向きには一般男子とオタク女子の恋は成立するのか、という命題を扱った作品になるのだろう。

 が、恋の成就がゴールとは限らない。「好き」と「嫌い」の二分法ではない、単純には収まらぬ人間関係を探っていくところが今日的だ。

 自分の内面に存在する「男と女の両性」について、ふと考えさせ、学園ドラマとしても爽やかな後味を残すあたり、なかなかなモノである。

館理人
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堀禎一監督作は他に『魔法少女を忘れない』など。

轟

週刊SPA!2008年4月22日号掲載記事を改訂!