ホラー界のツンデレ系萌えキャラといえば…「ゲゲゲの鬼太郎」の「ねこ娘」ですかね、まずは。
このくくりに「鋼ちゃん」が存在するようです、レビューによると。
さっそくレビュー、みていきましょう。
運命のいたずらで“コワイ女”に出会ってしまった人々の恐怖を描いたオムニバス・ホラー
結婚を控えたOLを襲う不条理劇「カタカタ」、ズタ袋をかぶった女性に青年が振り回される「鋼―はがね―」、 監修に清水崇も参加、母から娘へと伝わる呪われた血筋が悲しい運命を招く「うけつぐもの」の3話を収録。
『コワイ女』は2006年の映画です!
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君は“鋼ちゃん”を知っているか? タイトなミニスカからスラリと伸びたその脚。そそる。赤いハイヒール。これまたそそる。
が、しかーし! どんなルックスをしているのかは、皆目わからない。なぜなら、頭から腰あたりまでズタ袋をかぶったままなのが鋼ちゃんのスタイルなんだもの。
「な、何だよ、そりゃあ!?」と気になった人は、鈴木卓爾監督の『鋼―はがね―』を観てみよう。全3話のオムニバス『コワイ女』の第2話。そこに“彼女”は登場する。デート相手の青年(柄本佑)を翻弄しまくる存在として――。
ズダ袋からは、内臓だの銃だの刀だのが飛び出すが、ツンデレな態度が妙に愛くるしい。不気味な物体か、それとも映画が生んだ新手の萌えキャラなのか?
鋼ちゃんを演じたのは菜葉菜(なはな)。清水崇監督の『呪怨 パンデミック』にも出演している実力派で、全編ズダ袋をかぶったままでもシッカリ情感を湛えるあたりがすごい。
ちなみにスピンオフ企画、特典映像『鋼ちゃん』(井口昇監督)の第1話には、チラリと菜葉菜当人が……キレイな方でしたヨ。
井口昇監督作には映画『惡の華』(2019年)など
原案&脚本、鋼ちゃんの生みの親・山本直輝は映画美学校時代、清水崇と同期。在学中に編んだ企画で、黒沢清、高橋洋、万田邦敏、塩田明彦、青山真治、篠崎誠など、錚々たる講師陣の注目を集めたんだとか。ちなみに本作には、鋼ちゃんのデザインや造形でも参加!
言うなればこれは“萌え”ホラーである。「隠されたものを見たい」という欲望を募らせる。何ちゅうか、実に人間の本能を突いてくるキャラなんですな。降参。
週刊SPA!2007年3月6日掲載記事を改訂!