集団ロシアン・ルーレット、こわ! アイディアが冴えている映画『13/ザメッティ』をご紹介。
監督はゲラ・バブルアニ。出演はギオルギ・バブルアニ、パスカル・ボンガール、他。2005年、フランス映画です。レビューをどうぞ!
モノクロ映像で裏社会の雰囲気を演出、じわじわ盛り上がる神経戦
邪悪な人体ゲームが人々の運命を左右するサスペンススリラー。
主人公のグルジア移民の青年は、監督の実弟ギオルギ・バブルアニが演じている。
ちなみにタイトルの「ザメッティ」はグルジア語で「13」を意味する言葉。サンダンス映画祭ではワールドシネマコンペティション(ドラマ部門)審査員大賞受賞。
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どこかの一室。「弾を込めろ!」という声が上がる。銃を持った13人のプレイヤーたち。
円状に並ばされた彼らは片手を上げ、銃倉を回す。カラカラカラと部屋中に響き渡る音。
続いて目の前の男の後頭部に銃を当て、カチャリと銃鉄を起こす。あとは、電球の点灯を合図に13人が一斉に引き金を引くだけ……。
ベネチア国際映画祭最優秀新人監督賞受賞作。日本でも公開時、13人の男どもが輪になって、“集団ロシアン・ルーレット”に挑むシチュエーションが話題を呼んだ『13/ザメッティ』。
そのシーンの緊迫度を喩えてみるなら、たとえば『クイズ$ミリオネア』でみのもんたが「ファイナルアンサー?」と言ってから“間”をためて、場に広がっていく重圧感、あれを3倍増にしたようなものか。
物語は至ってシンプルだ。貧しい移民の若者が金儲けの話に誘われていくうちに、プレイヤー13人で賞金85万ユーロを競う“死のゲーム”に参加するはめになる。
本作で初の長編映画デビューを飾ったグルジア出身の監督ゲラ・バブルアニの心境は、この主人公同様、さぞかし崖っぷちだったことだろう。
脚本を書き上げ、自己資金でとにかく“集団ロシアン・ルーレット”のシーンを撮影、フランスの映画会社がそれを観て、ようやく全額出資が決まったのだ。
低予算ながらモノクロ映像で裏社会の雰囲気を出し、じわじわ神経戦を盛り上げるアイディアも受けて、ハリウッドにてセルフリメイク作も決定。
が、映画の世界もロシアン・ルーレットみたいなもの。はたして彼はその勝負に生き残れるだろうか?
このレビュー執筆後のゲラ・バブルアニ監督情報です!
作品化されました、ハリウッド版! 主演は、サム・ライリー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ロークほか。日本では2011年に公開でした。
週刊SPA!2007年10月17日号掲載を改訂!