こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
監督:小原宏裕
1982年
脚本: 伴一彦
出演:三崎奈美、太田あや子、山地美貴、織田倭歌、美野真琴、宮本麻代、ほか
忘れられなくしてやるぜっ(by港雄一)
(轟夕起夫)
「だまされごっこ」という歴史的名曲をご存知だろうか(『幻の名盤解放歌集・BMGビクター編 資本論のブルース』に収録)。
唄っているのは港雄一と浦野あすか。港雄一は知る人ぞ知る“犯し屋”の異名をとり、『刺青・愛・乱舞』なる監督作もある怪優だ(ちなみに「銀星倶楽部19 桃色映画天国」には、解放同盟の三銃士=根本敬、湯浅学、船橋英雄による必読必殺の“港雄一インタビュー”が!)。
「銀星倶楽部」は、映画や音楽などのカルチャー雑誌でした。
雑誌記事を引き合いに出されても今となっては読めないのでスルーで。
さて「だまされごっこ」の話であった。まず女が「やめてお願い“痛いのよ”」と唄う。するとだ、港雄一は間髪入れずコール&レスポンス、ドスの効いた声で怒鳴る。
「あんまりウブな振りしてみせんなよな、えっ、気取りやがって!」
続けて女のほうが「何もしないと言ったのに」と唄うと、さらにドスを効かせて「これが男のやり方ってもんだ。よく覚えておけ!」
ハイ、よ〜く覚えておきます。
コール&レスポンスなんですね、これ。
というわけで。1台のバスを借り切った白薔薇学園の研修旅行がスタートした。引率するのは三崎奈美扮する先生だ。しかしそのバスを狙う奴ら(港雄一含む)がいた。と書けばこの先の展開は、阪神タイガースの選手たちが“野村ID野球”を理解するよりも簡単だろう。
ID野球も死語ですね。てか、今は常識なのであえて言葉にもしません。
データを元にしたプレーやチーム作りをする野球のことです。
阪神タイガースの当時の野村克也監督によって広まったので、“野村ID野球”です。
野村監督、たくさん本を出しています。
「これが男のやり方ってもんだ!」
とばかりに“犯し屋”港雄一、やってやってやりまくる。気分はソドムの市。
『ソドムの市』(1976年)の原作は“サディズム”の語源でもあらせられる小説家マルキ・ド・サドの「ソドム百二十日あるいは淫蕩学校」。
しかも途中で「ブスは降ろすぞ」とのツルの一声が! ケダモノどもに“ブスの烙印”を押され、その場を助かるのがいいか、それともブスの汚名を逃れた代償として港雄一にヤラれたほうがいいか……という究極の選択。いや、どう考えても答えは前者だろ。
が、降ろされた女たちは「何で私たちがブスなんだよ」と叫ぶ。殺伐とした映画の空気をなごませる、牧歌的ないいシーンだ。
牧歌的…。
そうして女たちは、一台のトラックを拾い、ヤバめの運ちゃんに惨状を説明。
運ちゃんは「日本男子として絶対に許せん!」と激怒して港雄一らを追いかけるが、追いついたアカツキに何をするかは、炭酸に醤油を入れて「コーラ一丁!」と売りさばこうとしたバカ商人(あきんど)の明日を予想するよりもこれまた簡単だろう。
とくにこれといったストーリーはないんですね。
しかし! ノストラダムスの大予言以上の命中率を誇ったこの映画のラストは不敵であった。
「上映時間が決まっているからハイおしまい」とでも言うべきそれは、デヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』よりも不可解な白日夢へと観る者を誘うのだ――。
映画『ロスト・ハイウェイ』は1997年のサイコスリラーです。
脚本を手がけたのは竹野内豊のTVドラマ『WITH LOVE』の伴一彦。人生は所詮「だまされごっこ」──てな気持ちでこれを書いた、とお見受けした。
…。よくわかりませんでした、って映画のようで。
1998年のフジテレビドラマ『WITH LOVE』はフジテレビの公式動画見放題サイトFODで全話通して観られます。
月刊ビデオボーイ1999年3月号掲載コラムでした!
『白薔薇学園 そして全員犯された』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
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