こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1977年『妖精の部屋 天使が濡れるとき』(『16歳 妖精の部屋』)
監督:加藤彰
脚本:桃井章 音楽:コスモス・ファクトリー 撮影:姫田真佐久
出演:早瀬しおり、宮井えりな、小川亜佐美、内田良平、草薙幸二郎、結城マミ、清水国雄、十時じゅん
音楽はプリズム。人気フュージョンでやんす
(轟夕起夫)
どこの誰が唱えたのか、「終わりよければ全てよし」。
けだしこれは名言である。物事は竜頭蛇尾ではいけない。最後の最後、“締めくくり”が大切なわけで、人生そこが大いなる悩みどころである。
のだが! 実際には「終わりよければ全てよし」なんて桃源郷に着地できるのは希有なことだ。映画だってそうだろう。「終わったから終わった」としか取りようのない、射精後のイチモツみたいな萎えたラストなどざらである。
言い方。
その点、日活ロマンポルノという映画ジャンルは、大胆だったのか投げやりだったのか、ハナっから話を締めくくる気力なし。むしろ「え!? それで終わりなの?」てな挑戦的なエンディングを観る者にブチかますパターンが多かった。
型破り♪
いやまあ、制作側としてはキレイに締め括ろうと毎回悩んではいたと思う。
しかし結果は「人生そう簡単に答えなんか出せねえんだよ!」と開き直ったかのような、はたまた「何が“終わりよければ全てよし”だよ!」と逆ギレしたかのような無謀なラストが出来上がってしまっていた。
計算?
今回の『妖精の部屋 天使が濡れるとき』(公開時タイトルは『16歳 妖精の部屋』)もまた、無謀なエンディングで終わる。しかもものスゴく唐突に。
さっきまで描かれていた「初体験し、セックスに目覚める少女」というヌルい精通話は一体何だったのよ? とおそらく問い合わせ殺到のエンディング。
想定内!
同じ1977年に公開された『ビリティス』の線を狙ったとおぼしき、宮井えりなと早瀬しおりのレズシーン──すなわち年上女から手ほどきを受けるヒロインの“図”。そこだけが仄かに甘い匂いを残し、あとは何事もなかった顔をして、画面にはスタッフのクレジットがスルスルと上がっていく。
写真家で映画監督、デヴィッド・ハミルトンの『ビリティス』は、HDリマスター版が2017年に出ました!
それは、こんなエンディングだ。
夜空には打ち上げ花火が舞い、お祭りのシーン。親父役の内田良平(!)に向かって、「お父さん、こっち」などと言いながら、人込みの中へと消えてしまうヒロイン。振り返った内田良平が見たものは?
内田良平さんの悪役は逸品。最近は友近さんでおなじみ、五社英雄監督の映画『鬼龍院花子の生涯』(1982年)にも出演してました。
ワッショイワッショイ。カラダにサラシを巻き、神輿に乗っけてもらったヒロインが、お祭り野郎たちに担がれて、ワッショイワッショイ。すると次は全裸になっていて、どデカい木の筒を股にはさんで、ワッショイワッショイ。そのままストップモーションで映画はあっけなく「劇終」。
な、何これ!?
とんまつり(©みうらじゅん)か?
というわけで、ならばこっちも負けずにワッショイワッショイ!
さよおならのプ〜。
言い方…。
見出しで紹介のフュージョンバンド、プリズムもいい!のでご紹介。
月刊ビデオボーイ2000年9月号掲載記事を改訂!
『妖精の部屋 天使が濡れるとき』は、U-NEXTで見放題タイトルにラインナップされています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
Amazonプライムビデオでは『16歳 妖精の部屋』のタイトルでレンタル配信にラインナップされています。(2020年10月現在情報)
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