読む映画リバイバル『ドゥームズデイ』

『ニューヨーク1997』『マッドマックス2』etc. これは監督によるマジな“映画ゴッコ”である

(2010年12月29日号より)

 これはあくまで私論だが、映画監督として成功した者が一度だけやってもいい“道楽”というのがあると思う。すなわち、「自分が子供の頃に出会った大好きな作品の、影響丸出しな“映画ゴッコ”をする」こと−−−−。

 ここに紹介する『ドゥームズデイ』は、そんな微笑ましい“映画ゴッコ”をしていると思うのだが、この監督が、何を好きかはすぐわかるだろう。

 ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』とジョージ・ミラー監督の『マッドマックス2』だ。

 どちらも、血湧き肉躍るバトルアクション映画の傑作。ご丁寧なことに本作の登場人物のなかには、カーペンターとミラーという名前のヤツが出てくる。主人公は最初アイパッチをしているし、モヒカンの蛮族たちが暴れ回り、おまけに荒れ果てた荒野でカスタムカーによる大チェイス!

 でも道楽にしちゃあ本気だ。思いっきりお祭りしていて好感が持てる。お手本2作は男の映画だが、こちらは主人公を女性に。『アンダーワールド:ビギンズ』のローナ・ミトラ。メチャメチャ強い特殊部隊の隊長役で、「抱かれてもいい」とすら思えるほどカッコいい。

 で、この監督、そんな道楽をやる権利があるのかと改めて自分の胸に問うてみれば、「ちょっと早いけど、いいんじゃないかい」という答えが弾き出されてくる。’70年生まれ、英国出身のニール・マーシャル。兵士と人狼軍団の対決を描いた監督デビュー作『ドッグ・ソルジャー』も佳作だったが、続く地下洞窟サスペンス・ホラー『ディセント』では、数々の映画賞に輝いた。ともに限定された空間での、小集団の危機を描いていたためか、本作ではディストピア映画の大風呂敷を広げ、感染ウィルスの大パニックシーン用に1000人以上のエキストラを使っている。

 とにかく「今回はチマチマした撮影は勘弁だぜ」と言わんばかりの潔い暴れっぷり。CGに頼らない命がけのスタントアクションの数々は、きっとアナタが忘れていたものを思いださせてくれることだろう。

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’08年、巨大な城壁を作り、ウィルス感染者を封鎖、その蔓延を防いだはずが2035年、ロンドンで“死のウィルス”は再び猛威をふるい始めた! 女戦士エデン・シンクレアを隊長にしたスペシャルチームの死闘を描く近未来バトルアクション。劇場版よりさらに過激なアンレイテッド・バージョンでDVDリリース。

[週刊SPA!掲載]
●監督:ニール・マーシャル●出演:ローナ・ミトラ、マルコム・マクダウェル、ボブ・ホスキンス、他●2008年●イギリス、アメリカ