読む映画館リバイバル『断絶』

米国の迷走感溢れる、“呪われし”カルトムービーのラストを見よ!

(2007年4月17日号より)

 呪われた映画、というものがある。この71年公開の『断絶』もそんな1本として数えられてきた。主演はジェームズ・テイラーとデニス・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ!)。当時人気のミュージシャンだ。彼らはレース用に改造した55年型シボレーを運転する。対するのは名優ウォーレン・オーツの乗るポンティアックGTO。両者の間を行き交うヒロインはローリー・バード(モデル出身で写真家でもあり、後にアート・ガーファンクルの恋人に)。要は互いの車を賭けてワシントンまで競いあう、いわゆるアメリカン・ニューシネマ的ロードムービーだが、反逆のアンチヒーローにも負け犬の美学にも背を向けた、徹底してアメリカの迷走感を押し出した映画であった。

 監督はモンテ・ヘルマン。60年代にジャック・ニコルソンと風変わりな西部劇を作り、90年代にはタランティーノの『レザボア・ドッグス』の製作総指揮にクレジットされたことで知られる鬼才。だが大手ユニバーサルの重役は完成試写を観て激怒し、宣伝に力を入れず、公開時はあえなく興行的失敗に終わった。

 それから36年。ついに初ソフト化されるわけだが、関係者たちはどうなったか?  バード嬢は79年に自殺。オーツ親父は82年に心臓発作で急死。デニスは83年に海で溺死。ジェームズ・テイラーは何とか今も現役だが、ヘルマン監督の新作は……ない。

 しかし、“呪われた映画”という肩書きが、ある種の神話となり、本作は生命力豊かに甦ってきた。鮮烈ともヤケクソとも言える伝説的ラスト。それを見逃す手はないと思う。

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ブルース・スプリングスティーンやリチャード・リンクレーター監督も愛する、カルトムービー。原題の『TWO-LANE BLACKTOP』とは“二車線の舗装道路”という意味。長年ソフト化が見送られてきた最大の原因は、劇中、車のラジオやカーステから流れてくる音楽の著作権も大きかったとか。

[週刊SPA!掲載]
●監督:モンテ・ヘルマン●出演:ジェームズ・テイラー、他●1971年●アメリカ