読む映画リバイバル『刺青』

再検!日活ロマンポルノ

誰のために咲いたの〜それはあなたのためよ♪

(2001年10月号より)

 前々から買おうと思っていて、まだ手に入れていないCDがある。
 伊藤咲子のベスト盤だ。

 彼女は、伝説のオーディション歌番組「スター誕生」の出身で、森昌子、桜田淳子、山口百恵らと同期。74年に15才で「ひまわり娘」でデビューするや、圧倒的な歌唱力で人気を博した70年代アイドルである。ほかにも「木枯らしの二人」「乙女のワルツ」「きみ可愛いね」「青い麦」「いい娘に逢ったらドキッ」などヒット曲は多数あるが、とりわけ「ひまわり娘」は、甘酸っぱさ濃縮度100%の永遠の名曲だ。

 それにしても、あまりに直球ド真ん中なこのタイトル(と歌詞)のコっ恥ずかしさといったらないのだが、しかし「ひまわり娘」を作詞した阿久悠の『夢を食った男たち「スター誕生」と黄金の70年代』(小池書院)を読むと、日本経済史上の大不況だった74年という時代を反映し、過剰なまでに“明るい歌”にしたかったことがわかる。

 その本にはもうひとつ、伊豆の阿久悠の家に、桜田淳子、伊藤咲子、岩崎宏美が二泊三日で遊びに来たエピソードも記されていた。家のどこからかヌード写真入りの雑誌を伊藤咲子が見つけ、面白がっていたら桜田淳子は、不潔だ、そんなもの見ないで、と激怒したというのだ。

 阿久悠はこう書く。「ヌード写真に過剰な嫌悪感を示し、異常なほどの潔癖性を示した桜田淳子と、いいじゃないのこれくらい、と言った伊藤咲子、(略)それだけのことだが、妙に暗示的ではある」

 この「妙に暗示的」という部分が、伊藤咲子の場合、デビューして10年後のロマンポルノ出演を指しているのは言うまでもない。すなわち84年の『刺青』。原作はかの文豪・谷崎潤一郎(大幅にアレンジしているが)。彼女はコンサート前夜、人違いで誘拐され陵辱される歌手を演じ、題名のごとく肌を朱に染め、果敢にFUCKシーンにも挑戦した。

 結局31才で結婚し引退。表舞台から消えた彼女だが、昨年「あの人は今!?」のスペシャル版「20世紀アイドル 伝説の108人」で目撃。しかもかつての恋人、元アイドル歌手の城みちるがレポーターとして訪ねるというスゴい設定!

 「芸能界でアイドル同士が恋愛なんて、タブー中のタブー。お前のアイドル生命はもう終わりだ」と当時事務所に一喝されたと告白した城みちるは、「見届けるよ、ちゃんと、おばあちゃんになるまで」と絶叫。そうしてスタジオで披露されたのは「ひまわり娘」と「イルカにのった少年」のメドレー!

 暗黒の21世紀の今。ついに伊藤咲子をゲットする時が来たようだ。

(月刊ビデオボーイ掲載)
●監督:曾根中生●出演:伊藤咲子、沢田和美、木之元亮、他●1984年●日本