読む映画リバイバル『エクスペンダブルズ2』

アクション映画の未踏の地へ

(2012年11月下旬号より)

 一見ドリームキャスト、実はいささか時代遅れな、肉弾アクションのアイコンたちを集めた「エクスペンダブルズ」(2010年)。タイトルどおりに、監督、脚本、主演のシルヴェスター・スタローンは自ら“消耗品”と名付けた傭兵部隊の捨て石的闘いを見せ、自虐というか、自分で自分のことを笑ってみせちゃう、セルフつっこみの姿勢が「大人の余裕」にも繋がって、功を奏したのだった。

 さて、その(興行的かつ批評的)成功を受けて製作された続編は、ちょっと第1弾とは毛色が変わっていた。

 還暦をとうに越えているスタローン(と、仲間たち)の「消耗品でも記憶に残る消耗品になってやる」という気概はまんまなのだが、第2弾は「ならば最高の消耗品であるオレらをたんまり見せたろうか!」と自信回復しており、何だか再結成を果たし、世界ツアーを敢行、勢いを増した老舗ロックバンドのようなのだ。

 今回も揃いに揃った肉体派映画のレジェンドたち。スタローンの相棒役、ジェイソン・ステイサムは古株だらけの面子の中ではまだまだ若輩の位置づけだが、彼の現役感はとても重要である。ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーがマシンガンを手にし、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが悪役で参戦するスペシャル興行に、ステイサムは平均年令を下げるだけでなく、この“老舗バンド”のライヴ(アクション)の底上げに十分貢献している。言うなれば「ダダダダドッカーン」と激闘音を奏で、役者たちが見得を切ってゆくアクション歌舞伎なわけだが、カラダを張った映画という名の“マッスル・バラエティ”にもなっていて、第2弾のおいしいゲストが「ひとり軍隊」たる御年72歳の男、チャック・ノリス! 彼には「チャック・ノリス・ファクト」と呼ばれる、その最強キャラがジョークと化した伝説があり、要はトンデモないホラ噺の数々。日本でいえば『ビートたけしのオールナイトニッポン』でのネタ、海外旅行の際、必要書類のsex(性別)の欄に“週2回”と書いた村田英雄(←大物演歌歌手)だの、プロレスラーのジャイアント馬場が飛行機に乗るときは、両手を翼の中に入れて腹ばいになる……といった類いのホラ噺なのだが、そんなチャック・ノリスにしっかり華を持たせた構成にもなっている。

 あるいは楽屋オチが多く、スタローンを中心に憎まれ口を叩きあう間柄には、ハリウッド映画の伝統も感じる。かつて「オーシャンと十一人の仲間たち」(1960年)という作品があった。元空挺部隊員ダニー・オーシャンが旧友と共にカジノ強奪計画を実行する。主演のフランク・シナトラが結成したシナトラ一家(ピーター・ローフォード、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・Jr.ほか)総出演のあのノリをスタローンは受け継いでいるのかも。

 こうなったら「3」にも期待しようではないか。スタローンは加齢を重ねてもライヴやフェスで実力を発揮するロックスターのごとく、アクションスターのサバイバル術を映画を通して実践している。この“消耗品”と名付けられた部隊は、メンバーを入れ替えながら、アクション映画の未踏の地を突き進んでゆくのだ。

[キネマ旬報掲載]
●監督:サイモン・ウエスト●出演:シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、他●2012年●アメリカ