カルトムービー化していた『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』が、DVD化されたのが公開から約25年後のことでした!
DVD化はされたのですが、動画配信サービスでの取り扱いは見かけないですね(2020年3月現在)。
となると、まだまだ貴重感たっぷりの映画、DVD化された当時のレビューにてご紹介です。
異才ジョン・セイルズ監督の愛すべき手作り系必見映画
ある惑星の奴隷狩りから逃れ、地球にやってきた異星人<ブラザー>と、NYはハーレムの街の人々との交流をユーモアたっぷりに描いたSFヒューマン・ドラマ。
日本では1986年に公開、若者を中心に絶大なる人気を博し、今日ではカルト・ムービー化していたところ、ファンの支持に応えて、デジタル・リマスタリングでのDVD化が実現。
・ ・ ・
2007年の12月、アメリカ映像博物館の主催で、監督ジョン・セイルズと名優ダニー・グローヴァーを称える祝典が開かれたらしい。
そうかぁ、元気だったか、ジョン・セイルズ! ダニー・グローヴァーとのタッグでは『Honeydripper(日本未公開)』も完成させ、まだまだ現役なのが嬉しいではないか。
『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』にはダニー・グローバーは出演してませんが、大好きダニー・グローバーについて少々!
1980年代にNYインディーズの旗手として名を馳せ、1990年代は傑作群像劇『希望の街』、ケルトの妖精伝説をモチーフにした『フィオナの海』などで偉才を発揮してきたセイルズ。
さてそのフィルモグラフィーの中で最も愛すべき作品『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』がついにDVD化とあっては、日本でも監督として再評価の兆しあり!?
出演はジョー・モートン、ダリル・エドワーズ、他。
本国での公開時には何と形容すべきか難しかったろうが、今ならば“脱力系コメディ”なんて都合のいい言葉がある。
この低予算の手作り映画、ユルユルな感じがたまらなくイイ。しかし、設定はなかなかシビアなのだ。異星から地球に不時着し、NYのハーレムに住みついた宇宙人がいつしか「ブラザー」と呼ばれるようになる。
彼の外見はまんま“黒人”(ジョー・モートン)。エイリアンとは本来“異邦人”の意味。つまり本作には繊細な、人種問題も込められているわけだ。とはいえ硬派ぶらず、リアルな生活描写と心温まるタッチが魅力的。
ちなみに、宇宙からの追跡者(←メン・イン・ブラック仕様)を、若きデイヴィッド・ストラザーンとともに演じているのが監督セイルズその人。こういう映画を作る、実に“男前”な顔をしていますゾ。
週刊SPA!2008年1月29日号掲載記事を改訂!