出演映画がとにかく多いニコラス・ケイジ。ほぼ毎年複数本が公開されてます。
なにせ出演作が多いので、評価されない映画もたくさんあるわけですが、掘り出し感たっぷりの珍奇映画もあります! それがこれ『ウィッカーマン』。
不思議と愛すべきニコラス・ケイジが見えてくるのでした。解説はレビューにて!
オリジナルのエロさと牧歌的な味わいはない。ただ、ニコケイという笑いが加わっている!
失踪した少女を探しに孤島を訪れた警官と島民の対立、驚愕の顛末を奇抜なタッチで綴る。
カルト映画マニアだった故ジョニー・ラモーン(ラモーンズのギタリスト)が1973年版を親友ニコラス・ケイジに見せ、リメイクを遺言で勧めたらしい。
なのでラモーンズのファンは新旧ともに必見。
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映画には“孤島モノ”というジャンルがある。『ウィッカーマン』はまさに“孤島モノ”の代表作。
ただしリメイクで、オリジナルは1973年、イギリス産のカルトムービーだ。
ウィッカーマンとは、柳で作られた人型の巨大な檻。生贄を入れて燃やす宗教儀式のためのもの。映画はこの儀式を行うスコットランドの島の謎を描いたミュージカル風ドラマです。
コミック狂にして、珍奇な映画愛好家ニコラス・ケイジが自らプロデューサーを買って出て、主演も務めている。
ニコラス・ケイジはかなりの日本通。かつて日本語学校に通っていたこともありました。散財ゴシップも多い彼、来日すればコミックを爆買いです。
彼が演じているのは、心に傷を持つ白バイ警官。姿を消した元婚約者が8年ぶりに手紙をよこし、行方不明になった娘のローワンを捜してほしいと頼ってくる。
そこから舞台はある孤島へと移る。少女捜索のミステリアスな旅が始まるわけだが、この映画は基本、2つの大きな要素で構成されていくことになる。「島の中でのフシギな出来事」と「ニコラス・ケイジの困った顔」だ。
蜂の世界を擬したような女性中心社会。そして怪しい村人たち。ケイジの眉間に刻まれるシワの深さに比例して、島の謎に対する不安感と、何とも言えぬミョーな可笑しさが広がっていく。
オリジナル版にあったエロさと、フォーキーで牧歌的な味わいは、なくなってしまった。
しかしこちらはケイジのナビによる“秘境ぶらり旅”が、観る者を笑いに誘う。
結果、ラジー(最低映画)賞5部門にノミネートされてしまったものの、それもご愛嬌。
“ひとり相撲”を取りながら伏線を張り巡らし、島中を奔走したあげくの衝撃のラスト、ケイジの究極の困り顔がお楽しみ。
オリジナルはキリスト教と原始宗教との対立が見モノだったが、今回の改変では「昔の女にゃ気をつけろ!」という生々しいメッセージも。2度の離婚者、ケイジの心の叫びとみた。
離婚回数はその後増え、4回目の離婚は婚姻期間4日間だったというゴシップニュースが流れてました、ニコケイ。
週刊SPA!2008年1月15日号掲載記事を改訂!