1970年代日活ニューアクションの魅力と代表作『反逆のメロディー』を原田芳雄が語る

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館理人
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原田芳雄主演映画『反逆のメロディー』(1970年)を語る映画レビューを復刻です。原田芳雄さんにもインタビューし、コメントをいただいた記事となります。

館理人
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『反逆のメロディー』は日活ニューアクションといわれる映画群の代表作。そのあたりも解説しています!

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『反逆のメロディ』が代表する日活ニューアクションとは?

(轟夕起夫)

 孤独と焦燥感を抱えた若者たちの無軌道な行動。反権力に基づく危険なゲーム。かつて日活ニューアクションと呼ばれた映画群があった。それは、日本で1960年代後半から70年代初頭にアメリカン・ニューシネマと共に一時代を築いたムーブメント。勧蓋懲悪の世界に背を向けた、アンチ・ヒーローたちの壮絶な生き様をスクリーンに刻んだジャンルだった。

 原田芳雄が主演した『反逆のメロディー』はその代表作。主人公はやくざの元幹部で、ドロップアウトしたチンピラの哲。佐藤蛾次郎扮するゲバ作ほか、ダチ公たちが虫けらのように殺されていくことに怒った彼は、巨大な悪に斬り込んでいく。当時監督2作目の澤田幸弘のエネルギッシュな演出や、監督に原田を推薦した梶芽衣子のクール・ビューティも特筆モノだ。

『反逆のメロディー』データ

監督:澤田幸弘 企画:水の江滝子 脚本:佐治乾、蘇武道夫 
出演:原田芳雄、佐藤蛾次郎、藤竜也、地井武男、冨士眞奈美、梶芽衣子、深江章喜、ほか

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原田芳雄が語る『反逆のメロディー』

(取材・文 轟夕起夫)

プロフィール

1940年-2011年
東京都生まれ。『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)や『浪人街』(1990年)、黒木和雄監督の『戦争レクイエム』3部作など多数出演。2003年に紫綬褒章に輝く。
『大鹿村騒動記』が遺作となる。

「ひとつの時代のドキュメンタリーみたいな作品」

 やくざでありながら長髪にサングラス、デニムの上下。『反逆のメロディー』の主演、原田芳雄のその斬新なスタイルは、実は意外な経緯で決まったものだった。

原田 当時、俳優座という劇団に所属していたんだけど、時代の潮流と共に演劇界は大きな変動期にあって、僕もいろいろ模索中で、映画にはあまり興味がなかったんだ。だから、澤田幸弘監督から最初にオファーをもらったときは断ったんだよ。そうしたら、監督がまた来てくれて。こう言えばあきらめるだろう、と「自分の普段着のジーンズのまま出させてもらえるなら」って条件を出したら「どうぞ」と言われて。引っ込みがつかなくなっちゃった(笑)。

 時は1970年。学生運動に安保闘争、造反有理の季節。映画や演劇は時代の動きに敏感だった。本作も撮影中に起きた瀬戸内シージャック事件に触発され、ラスト・シーンが変わったりしたそうだ。

原田 脚本はあってないようなものだったからね。その場その場で変更していくから、今までの演技のカテゴリーなんてまったく通じないんですよ。でも、とにかく撮影現場の熱気がすごくて自分の小さな殻が壊されていくのが快感だった。この映画は、やくざの連中が組の看板燃やすシーンから始まるよね。まず組織自体をぶっ壊して、物語を始めるというアナーキーさ。それが1970年の荒ぶる時代の気分だった。何しろ、撮影中のスケジュールにスタッフのデモの予定が組み込まれていたんだからね(笑)。監督ではなくロケバスの運転手が演技のダメ出しをしたりね。主人公がアンチ・ヒーローなのは、僕らの中に、かっこいいことは絶対恥ずかしい、って気持ちがあったから。既成の価値観だけでなく自分自身のことも疑っていた。今この映画を見ると、きっとあのころの空気や匂い、緊張と恐怖とある種の恍惚感が甦ってくるはず。フィクションだけど、ひとつの時代のドキュメンタリーみたいな作品。僕の原点となった1本だよ。

轟

DVD&動画配信でーた2007年4月号掲載記事を改訂!