読む映画リバイバル『ドゥームズデイ』

『ニューヨーク1997』『マッドマックス2』etc. これは監督によるマジな“映画ゴッコ”である

(2010年12月29日号より)

 これはあくまで私論だが、映画監督として成功した者が一度だけやってもいい“道楽”というのがあると思う。すなわち、「自分が子供の頃に出会った大好きな作品の、影響丸出しな“映画ゴッコ”をする」こと−−−−。

 ここに紹介する『ドゥームズデイ』は、そんな微笑ましい“映画ゴッコ”をしていると思うのだが、この監督が、何を好きかはすぐわかるだろう。

 ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』とジョージ・ミラー監督の『マッドマックス2』だ。 “読む映画リバイバル『ドゥームズデイ』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ワイルド・バレット』

全編トップスピード! 童話的、ダークな雰囲気を湛えた傑作アクション

(2009年4月7日号より)

 上半身、腹のあたりを真っ赤に血で染めた少年が、男に抱きかかえられ、オープンカーの助手席に放り込まれる。一体どうしたのか、その状況を理解するヒマも与えられぬまま、本作は、車の発進と同時にいきなりトップスピードで走り出す。 “読む映画リバイバル『ワイルド・バレット』” の続きを読む

読む映画リバイバル『アメリカン・スナイパー』

イーストウッドとスローモーション

(2015年4月上旬号より)

「マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや」

クリント・イーストウッドが監督した「アメリカン・スナイパー」は、観終わって寺山修司のかの有名な短歌を思い起こさせる。英雄と称えられた狙撃兵クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)の生涯を通して、国と個人と戦争の関係を改めて描いたイーストウッドの意図は明白だ。 “読む映画リバイバル『アメリカン・スナイパー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『スネーク・フライト』

ジャンボジェットを占領した毒ヘビに、サミュエルの「マザファッカ!」が炸裂!

(2009年5月号より)

 邦題は『スネーク・フライト』だが、より分かりやすいタイトルにするなら、「サミュエル・L・ジャクソンvs毒ヘビ(数千匹)」がいい。闘いの舞台となるのはジャンボジェットの機内。なぜにそこに大量のヘビが!?  “読む映画リバイバル『スネーク・フライト』” の続きを読む

読む映画リバイバル『マトリックス』

(1999年10月下旬号より)

 20世紀を締め括るように登場した「マトリックス」が、題名通り、次世代の映画スタイルのひとつの“原型”になるだろうコトはいまさら言うまでもない。ましてや、その驚異的なビジュアルを成立させている世界観や夥しいテクストに関してはすでにいろいろ書き尽くされており「何をか言わんや」というのが正直なところ……だが、気分を出してもう一度byB.B(ブリジット・バルドー)。 “読む映画リバイバル『マトリックス』” の続きを読む

読む映画リバイバル『イースタン・プロミス』

ヴィゴがフルチンで肉弾戦! 映画史に残る、いや残したい、この名シーンを見逃すな

(2008年11月18日号より)

 フルチンで大乱闘、なんである。

 「いきなり何だあ!?」って話だろうが、とりあえずこの傑作『イースタン・プロミス』のメインイベントを、ひとまず先にお伝えてしておこうかと。 “読む映画リバイバル『イースタン・プロミス』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈トム・クルーズ〉『アウトロー』

アメリカの良心の継承 グレゴリー・ペックからトム・クルーズへ

(2013年2月上旬号より)

 懐かしい“匂い”

 映画が始まった途端、ちょっとタイムスリップしてしまったのかと思った。『ダーティハリー』(71)のオープニングよろしく、白昼、何者かが屋上に立ち、市井の人々を狙撃して回るシーンが目に飛び込んできて、出だしからなんとも不穏でヤバい、洗練なんて言葉には背を向けたあの“70年代アクション映画”の匂いが鼻孔をくすぐったのだ。 “読む映画リバイバル〈トム・クルーズ〉『アウトロー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『カラテ愚連隊』

2丁拳銃もなければハトも飛ばない。でもそこには“ジョン・ウー印”の「義」がある

(2008年10月21日号より)

 先日、ジョン・ウー監督に取材する機会を得た。11月に封切られる最新作、100億円もの巨費を投じた『レッドクリフ』のキャンペーンで来日したのだった。 “読む映画リバイバル『カラテ愚連隊』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ノーカントリー』

アカデミー4冠のコーエン作品。印象に残るのはやはり、あの“迫力ある顔”

(2008年8月5日号より)

 迫力のある顔、という言い方がある。「それってどんな顔?」と訊かれたら、この映画を観せるのが手っ取り早い。そこには、最凶の“殺し屋シガー”がいる。すなわち、名優ハビエル・バルデムが、バナナマン・日村勇紀のごとき面妖な髪形、容貌になって登場するのである。 “読む映画リバイバル『ノーカントリー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『エクスペンダブルズ2』

アクション映画の未踏の地へ

(2012年11月下旬号より)

 一見ドリームキャスト、実はいささか時代遅れな、肉弾アクションのアイコンたちを集めた「エクスペンダブルズ」(2010年)。タイトルどおりに、監督、脚本、主演のシルヴェスター・スタローンは自ら“消耗品”と名付けた傭兵部隊の捨て石的闘いを見せ、自虐というか、自分で自分のことを笑ってみせちゃう、 “読む映画リバイバル『エクスペンダブルズ2』” の続きを読む

読む映画リバイバル『007 スカイフォール』

アイデンティティの喪失と回復

(2012年12月下旬号より)

 タイトルと同じ曲名を持つアデルの主題歌はいきなりこう呟く。「これで終わり」と。だが、その映画の構成自体がそうであるように、彼女の声は徐々に螺旋を描いて上昇していき、新たなる始まりを告げる。 “読む映画リバイバル『007 スカイフォール』” の続きを読む