読む映画リバイバル/淡島千景と『もず』

動から静へ、静から動へ

(2012年5月下旬号より)

 映画が始まると、(松山崇による)何ともデコラティブな内装の小料理屋のセットが目に飛び込んでくる。住み込み女中・岡田すが子役の淡島千景はやがて、暖簾をくぐって晴れやかな顔で、右手から登場する。さて、店の手伝いでも始めるのかと思いきや、そうではなく、スタタタタと二階に上がってしまう。意表を突く展開(アクション)。それがこの映画「もず」(61)での彼女の行動様式だ。 “読む映画リバイバル/淡島千景と『もず』” の続きを読む

読む映画リバイバル『血を吸うカメラ』

“覗き魔”は主人公ではなく、我々だ

(2010年4月13日号より)

 タイトルから、一体どんな映画を想像するだろうか。『血を吸うカメラ』である。かなりB級な、安いムードを醸し出しちゃっているが、当然これは邦題で、原題は『PEEPING TOM』という。ピーピング・トム。つまり、覗き魔、窃視症。が、こっちはこっちでどうも内容と合致していない気もして、筆者は邦題のほうが好きだ。 “読む映画リバイバル『血を吸うカメラ』” の続きを読む