読む映画リバイバル『フラッシュバックメモリーズ3D』

轟夕起夫は『フラッシュバックメモリーズ3D』を観た夜をずっと覚えていたいと思った

(2012年12月号より)

 その「一夜のこと」は、ずーっと記憶に留めておきたいと思った。

 去る11月16日、吉祥寺バウスシアターにて行われた爆音3D映画祭、そしてクロージングを飾った松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ3D』のことである。

 GOMAというディジュリドゥアーティストがいる。アボリジニの伝統楽器ディジュリドゥの奏者だ。彼は不運にも2009年の11月26日、首都高速で停車中、後方から追突され、脳の一部が損傷、「高次脳機能障害」となり、日々、自分の記憶を失っていく状態に。 “読む映画リバイバル『フラッシュバックメモリーズ3D』” の続きを読む

読む映画リバイバル『DOGLEGS』

そこには雄弁な沈黙が流れていた

(2016年2月上旬号より)

 齋藤陽道という気鋭のカメラマンがいる。昨年は宮沢賢治の詩の世界を“写真で翻案”した『写訳 春と修羅』(ナナロク社)を出版、さらには企画展に参加したり、写真展を開催したり。精力的に活動し、多忙な彼だが、“陽ノ道”という別の名前がある。障害者プロレス団体「ドッグレッグス」に所属しており、そのリングネームで闘っているのだ。 “読む映画リバイバル『DOGLEGS』” の続きを読む

読む映画リバイバル『タカダワタル的』

(2004年6月下旬号より)

 今から10年ほど前のこと。「PNDC/エル・パトレイロ」を携え来日した監督アレックス・コックスを迎え、青山墓地にて花見が開かれた。宴もたけなわの頃、ひとりの酔人が倒れるように路上で寝ているのを見た。高田渡だった――。 “読む映画リバイバル『タカダワタル的』” の続きを読む

読む映画リバイバル『市川崑物語』

巨匠に迫るドキュメンタリー。とはいえこれは“岩井映画”そのものである

(2007年7月3日号より)

 ’60年代生まれのクリエイターには、その影響を多大に受けた“市川崑チルドレン”が多い。なぜか? 物心ついた時分に市川監督の、金田一耕助シリーズ(’76〜’79年)と出会ってしまったからだ。

 そんなチルドレンのひとり、岩井俊二が『市川崑物語』を作った。 “読む映画リバイバル『市川崑物語』” の続きを読む

読む映画リバイバル『あんにょん由美香』

これは女優・林由美香をめぐるドキュメンタリーというより、一人の男の“ラブストーリー”だ

(2010年3月2日号より)

 これは、ドキュメンタリー映画にして“消えた女”をめぐる探偵映画だ。どういうことか。“消えた女”のミステリーを解くカギとなるのは1本の古いVHSのビデオテープ。 “読む映画リバイバル『あんにょん由美香』” の続きを読む