読む映画リバイバル『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』

轟夕起夫が触れたヌーヴェル・ヴァーグという映画史

(2011年6月号より)

 共に59年に長編デビュー作を放ち、ラストシーンで、主要登場人物に“カメラ目線”をさせたふたりの映画監督がいる。『大人は判ってくれない』のフランソワ・トリュフォーと、『勝手にしやがれ』のジャン=リュック・ゴダールだ。

 観客に向けられた、挑発的だが只ならぬ思いを訴えかけてくる視線——この“眼差し”が、同時代的になぜ生まれたのかを知りたい方、はたまた、今までトリュフォーやゴダールの作品には何ら関心のなかった方々——すなわち、一大クロニクル『ふたりのヌーヴェルヴァーグ  ゴダールとトリュフォー』とは、そんな人たちこそが観るべき、よく出来た“映画史”入門篇のドキュメンタリーなのであった。 “読む映画リバイバル『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『コーマン帝国』

あっぱれのドキュメンタリー

(2012年2月号より)

 よくぞ付けたり、この邦題! 『コーマン帝国』ときたもんだ。何それ?って方にはまず「ロジャー・コーマン」という名前から知ってもらおう。

 1926年ミシガン州デトロイト生まれ。どんな人物かを説明するには、彼の自伝タイトルを紹介するのが手っ取り早い。すなわち『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』(早川書房)。『コーマン帝国』は、かの名著を映像へと移し替えたかのような、よく出来たドキュメンタリー映画だ。 “読む映画リバイバル『コーマン帝国』” の続きを読む

読む映画リバイバル『これは映画ではない』

轟夕起夫が祈りを込めて見つめるイラン映画『これは映画ではない』

(2012年8月号より)

 不屈の闘志——と記してはみたものの、書くのは易し。当人の、苛烈な“今”を思うと、もどかしさが募るばかりである。

 かような境遇に陥っているイランの映画監督がいる。名は「ジャファール・パナヒ」と言い、彼は不正な操作があったとされる09年の大統領選で、対立候補を支持した結果、反体制の罪で「20年間の映画製作禁止」のみならず、出国もマスコミとの接触も禁止され、6年間の懲役刑まで申し渡される始末。現在は保釈金を払い、自宅軟禁中の身だ。 “読む映画リバイバル『これは映画ではない』” の続きを読む

読む映画リバイバル『アメリカン・ティーン』

高校生のリアルに迫るドキュメント……のはずが、ドキュメントっぽくないのはなぜ?

(2009年3月17日号より)

 近年、映画やTVドラマはリアリティを求め、その方法論としてよくドキュメンタリー・タッチを導入する。ナマっぽい映像と臨場感あふれる編集の合わせワザ。これは簡単そうで、作り手のセンスが如実に出てしまう手法なわけだが、逆の発想もまたあり。 “読む映画リバイバル『アメリカン・ティーン』” の続きを読む

読む映画リバイバル『デート・ウィズ・ドリュー』

ドリューLOVE!な男が悪戦苦闘。“何も持たざる者”のサクセス物語

(2007年6月19日号より)

 あの女優ドリュー・バリモアに無謀にもデートを挑んだ男のドキュメント映画。昨年末の公開時、けっこう話題になったので“結果”まで知っている方も多かろう。 “読む映画リバイバル『デート・ウィズ・ドリュー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』

(2000年3月下旬号)

 このところ進むべき道を見失い、なにか足踏みしているような映画ばかり撮っていたヴィム・ヴェンダース。だが“停滞”も旅の一要素である。「日」が昇りさえすればいつかは新たな地平へと「立」つことができる。 “読む映画リバイバル『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』” の続きを読む

読む映画リバイバル『レス・ポールの伝説』

レス・ポールといえばエレキギター……だが彼の偉大さを皆はどこまで知っている?

(2009年12月30日号より)

 レスポール・モデルのギターといえば、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジらが手にしてきたロック史上の財産。ところでそれが、一流ギタリストにして、稀代の発明家の名前だと知っていたか? “読む映画リバイバル『レス・ポールの伝説』” の続きを読む