『ロード・オブ・ザ・リング』好きにウケないピーター・ジャクソン監督の『ラブリーボーン』はとんでも映画なのかを考察!

Photo by Diego PH on Unsplash
館理人
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『ラブリーボーン』は監督ピーター・ジャクソン、出演シアーシャ・ローナン、他。2009年の映画です。

館理人
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ピーター・ジャクソンといえば『ロード・オブ・ザ・リング』などで冒険ファンタジーの大作を撮る監督のイメージがありますが、こちらはちょっと毛色が違います。

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この映画から過去作を振り返れば、なんとなくピーター・ジャクソン監督が見えてくる不思議。レビューをどうぞ!

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殺された少女の「無念と後悔と怒り」に同化し、ピージャクのイマジネーションも奔放に暴れ回る

わずか14歳で殺され、“天国の入り口”で留まり続ける少女の成長譚を最新VFXを駆使して活写。

アリス・シーボルドの同名小説を『キング・コング』のピーター・ジャクソン監督が映画化。

館理人
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ピーター・ジャクソン版『キング・コング』(2005年)は1933年版のリメイクです。キング・コングが恋する美女役はナオミ・ワッツ。

原作のファンで、それをジャクソンに紹介したのは彼のパートナー、脚本家のフラン・ウォルシュである。音楽はブライアン・イーノ!

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ブライアン・イーノはイギリスの作曲家、プロデューサー。環境音楽の先駆者とも言われます。

   ・   ・   ・

 ピージャクこと、ピーター・ジャクソン監督の久々の新作ということもあって、期待が大きかったのだろう。

『ラブリーボーン』は公開時、賛否が真っ二つに分かれた映画だった。しかも、割合からいえば圧倒的に「否」のほうが優勢。

 スーパーナチュラルな死生観、異界の映像化に対し、「丹波哲郎の『大霊界』みたい」だの「支離滅裂で何を描きたいのかわからん」だの、皆さん、相当にご立腹の様子であった。

館理人
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『大霊界』は「とんでも映画」とも言えるユニークさ。霊界をビジュアル化してます。

 が、筆者はこう思った。

 これは14歳のヒロイン、スージーをめぐる、『不思議の国のアリス』ならぬ“スージー・イン・ワンダーランド”なのだと。

館理人
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映画『アリス・イン・ワンダーランド』はティム・バートン監督作。

 彼女はトウモロコシ畑に穿たれた穴の中に入って、ワンダーランドへと旅立つ。その穴は今までも数々の少女を捕獲してきた罠。淫楽殺人者(スタンリー・トゥッチが憎らしいほどイイ!)の手にかかり、スージーは死に、だが“天国の入り口”とやらに留まり、下界を見守ることに。

 つまり、何とも悪趣味かつ切ないファンタジーなのだ。

 このテイストがまず、ピージャクらしいのだが、主人公が死んでから本作は、ピージャク版『時をかける少女』になっていくのである。

館理人
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「時をかける少女」は筒井康隆のSF小説。実写映画、ドラマとさまざまに映像化されてます。細田守監督アニメ映画『時をかける少女』も大ヒットしました。

 タイム・リープ(時空移動)を繰り返すヒロインの「無念と後悔と怒り」に同化し、ピージャクのイマジネーションも奔放に暴れ回る。アリス・シーボルドの原作に依拠しつつ、生と死の一大パノラマを描き出してゆく。

 さて、作品に乗れなかった人も、ヒロイン役、シアーシャ・ローナンの名演は誰もが認めている。以前『つぐない』で13歳にしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされていたが、実力は本物である。

 それにしてもピージャクの心の中には“乙女”が棲んでいるのではないか。

 彼はハリウッドデビュー作『さまよう魂たち』や、ベネチア国際映画祭銀獅子賞に輝いた『乙女の祈り』でも少女の心性にガチで寄りそっていた。

館理人
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『さまよう魂たち』はマイケル・J・フォックス主演のホラーコメディ。

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『乙女の祈り』はケイト・ウィンスレット主演、多感な少女の殺人事件を描きます。

 今回は(同じく髭、髪モジャがトレードマークの)大林宣彦監督並み。

館理人
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大林信彦監督作『時をかける少女』は原田知世主演。

『ロード・オブ・ザ・リング』ファンには無理して薦めないが、大林映画好きにはプッシュしておこう。

館理人
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『ロード・オブ・ザ・リング』は3部作の冒険ファンタジー大作。3作目の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』はアカデミー賞でなんと11部門を受賞するという快挙でした。

轟

週刊SPA!2010年7月13日発売号掲載記事を改訂!