読む映画リバイバル『ツイてない男』

笑いあり、首チョンパありの異色未公開作。ホラーコメディというよりホラーコントか?

(2008年11月4日号より)

 スティーブン・ドーフという男がいる。とまあ、何もこんなにかしこまって紹介する必要もないのだが、彼、最近「あの人は今!?」状態に陥っていないか。 “読む映画リバイバル『ツイてない男』” の続きを読む

読む映画リバイバル『イージー・ライダー』

 『イージー・ライダー』という映画を、君は観た事があるだろうか。マリファナ、人種問題、ベトナム、反体制運動の激化など病めるアメリカと揺れる若者たちの悲劇を描いている。現在のチョッパースタイルを確立させたのもこの映画だ。今、あらためてこの作品を検証する。

(1993年号より)

揺れるアメリカの“夢の余白”を求めた、若者の旅

 広大な一本の道を目の前にして、ロングヘアーの若者ふたりが、見事に改造されたチョッパーのハーレーダビッドソンに跨がっている。そして片方の男が腕時計をはずし、路上に捨てたかと思うと、2台のハーレーダビッドソンは “読む映画リバイバル『イージー・ライダー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ア ダーティ シェイム US公開バージョン』

悪趣味監督ジョン・ウォーターズの新作がDVDスルー。映画で味わう“顔射”される気分

(2008年6月24日号より)

 ビックリした。“顔射”をかまされちまったのだ。いったい誰に? 映画にだ! ハイ、ここまで読んで、「よく分かんないけど気になるなあ」と思った特異な方、今すぐこの『ア ダーティ シェイム』を観ていただきたい。 “読む映画リバイバル『ア ダーティ シェイム US公開バージョン』” の続きを読む

読む映画リバイバル『河童のクゥと夏休み』

現代を生きられない河童=マイノリティ。「クレしん」原監督による“大人泣き”アニメ

(2008年6月10日号より)

 その鳴き声から、「クゥ」と名づけられた河童の子供と少年の物語。原恵一監督の『河童のクゥと夏休み』は、一見、子供向きではあるが、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』に匹敵する原ワールド満載の“大人泣きアニメ”だ。つまり、大人のほうがより“心に痛い”描写が、要所要所に埋め込まれているのである。

 原作の児童文学と出会って、かれこれ20年間、原監督はアニメ化を温めてきた。そもそもは「江戸時代に生きていた子供の河童が現代に蘇る」というアイディアに魅かれたのだそうだが、原作者の了解を得て、多くのアレンジを加えた。一体どう変えたのか? 少年とその家族との交流を描きながら、合わせて「河童が現代の人間と共存することの難しさ」も、トコトン描いているのだ。

 この作品のザラついた感触、どこかで味わったことがあると思ったら、少年の名が“上原康一”であることからこんな連想が働いた。これは原監督版の「怪獣使いと少年」ではないのか、と。

「怪獣使いと少年」とは、かの『帰ってきたウルトラマン』の第33話で、怪獣をマイノリティの民族に見立て、被差別問題を扱った回だった。脚本は沖縄出身の上原正三。原監督は河童を妖怪というより少数民族的なものとしてイメージしていたという。しかも劇中、沖縄を重要な舞台として出しているのだから、何らかの関係があったのでは?

 ともあれ、「怪獣使いと少年」は、大人になって観直すと、一層その深さに気づかされる傑作だ。『河童のクゥと夏休み』もまた然りである。

※ ※ ※ ※ ※

フシギな石を拾った小学生と、石から甦った河童の子供の交流を描いた、号泣必死の感動アニメ。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』以来5年ぶりとなる、原恵一監督作。原作は、故・木暮正夫の児童文学『かっぱ大さわぎ』(1978年)と『かっぱびっくり旅』(1980年)。

[週刊SPA!掲載]
●監督:原恵一●出演(声):田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、他●2007年●日本、アニメ

読む映画リバイバル『縄と乳房』

再検!日活ロマンポルノ

美術は、鈴木清順監督と名コンビの木村威夫

(2000年6月号より)

 京都。それは夢破れ傷つき、人生(とくに色恋沙汰)において悩める者たちの格好の“佇み”スポット。名所旧跡で、フっとため息などつくだけで、らしい“絵”がたちまち出来上がる。で、女がひとり、佇んだりしている場合、BGMは渚ゆう子の『京都の恋』『京都慕情』、あるいは由紀さおりの『女ひとり』と昔っから決まっている。とにかく京都は、悩める者たちにとって歌謡曲的に、つまりベタベタに、“絵”になる聖地なのだ。 “読む映画リバイバル『縄と乳房』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ノルウェイの森』

囁きを聴く――『ノルウェイの森』の優れた“カヴァーアルバム”

(2010年12月下旬号より)

 えーと。何から書くべきか。そうだ! 『ノルウェーの森』が良かった。“ノルウェイの森”ではない。ビートルズの名曲『ノルウェーの森』。しかもレイコさん(霧島れいか)が劇中でギター弾きながら歌っているやつ。 “読む映画リバイバル『ノルウェイの森』” の続きを読む

読む映画リバイバル『大統領暗殺』

ブッシュ大統領が暗殺された!? 映画でも現実でも、大統領から目が離せない!

(2008年2月12日号より)

 アメリカの大統領は、映画の中でも“目が離せない存在”だ。

 たとえば戦闘機に乗ってUFOと闘ったり(『インデペンデンス・デイ』)、ハイジャック犯のテロリストをやっつけたり(『エアフォース・ワン』)、はたまた火星人に襲来され無残に殺されたり(『マーズ・アタック!』)、かと思えばベッドで愛人に暴力をふるったり(『目撃』)と、フィクションだろうと、話題に事欠かない。 “読む映画リバイバル『大統領暗殺』” の続きを読む

「角川映画祭」劇場パンフレットに(大林宣彦監督、草刈正雄インタビュー)書いてます

本日から映画館で開催されている「角川映画祭」の劇場パンフレット内、(大林宣彦監督、草刈正雄インタビュー)を書いてます。

ムック「キネマ旬報増刊 大人のシネマ・ライフ 2016 Summer→Autumn」で(『シーモアさんと、大人のための人生入門』について)を書いてます

ムック本「キネマ旬報増刊 大人のシネマ・ライフ 2016 Summer→Autumn」に寄稿(『シーモアさんと、大人のための人生入門』について)しています。

読む映画リバイバル『あんにょん由美香』

これは女優・林由美香をめぐるドキュメンタリーというより、一人の男の“ラブストーリー”だ

(2010年3月2日号より)

 これは、ドキュメンタリー映画にして“消えた女”をめぐる探偵映画だ。どういうことか。“消えた女”のミステリーを解くカギとなるのは1本の古いVHSのビデオテープ。 “読む映画リバイバル『あんにょん由美香』” の続きを読む

読む映画リバイバル『天使のはらわた 名美』

再検!日活ロマンポルノ

あの“天使のはらわた”シリーズ第3弾ですわ

(2000年7月号より)

 雨だ。雨の日はキライだ。カラダがべとつき、おまけに気分が鬱屈するからだ。そうだ。こんなときはロマンポルノを観よう。石井隆原作・脚本、田中登監督の『天使のはらわた 名美』。79年作品。 “読む映画リバイバル『天使のはらわた 名美』” の続きを読む

読む映画リバイバル『エスター』

見た目にそぐわぬ孤児の“蛮行”に思わず恐怖。彼女の正体とは……?

(2010年3月16日号より)

 煽るのが仕事ゆえに仕方ないのだが、映画の宣伝では「意外な結末」「大ドンデン返しが待っている」といった類の惹句がよく躍る。これは威勢がいい反面、作品のハードルを著しく上げてしまうわけで、結果厳しい視線を浴び、“期待ハズレ”の烙印を押されることもある。 “読む映画リバイバル『エスター』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ファンボーイズ』

『スター・ウォーズ』ファンによる、『スター・ウォーズ』ファンのための青春コメディ。新作を心待ちにした“あの熱狂”が蘇る!

(2010年5月10日号より)

  熱狂する対象が何であれ、ファンの放つエネルギーってやつは本当にスゴイ。時には思いがカラ回りしてしまう場合もあるが、でもやっぱり夢中になれるものがあったほうが、人生は楽しいに決まってる。 “読む映画リバイバル『ファンボーイズ』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈ジャン=リュック・ゴダール〉

ゴダール映画の再上映や評価は延々に続きそうだ。でも、「正直いって、わかりにくい」&難しいことは語り尽くされている。ってなわけで不思議な“ゴダール”映画をより面白く観るために、身近に感じるために――

(1999年10月号より)

ゴダール・リフレクション。それは「イメージ」の乱反射!

「ゴダールが好き!」と言うことは簡単だが、どこがどう好き、と説明するのは、本当に難しい。別に、あの頭の禿げあがった風体のあがらない男そのものにメチャクチャ魅かれているわけではないはずだ。 “読む映画リバイバル〈ジャン=リュック・ゴダール〉” の続きを読む

読む映画リバイバル『妖精の部屋 天使が濡れるとき』

再検!日活ロマンポルノ

音楽はプリズム。人気フュージョンでやんす

(2000年9月号より)

 どこの誰が唱えたのか、「終わりよければ全てよし」。けだしこれは名言である。物事は竜頭蛇尾ではいけない。最後の最後、“締めくくり”が大切なわけで、人生そこが大いなる悩みどころである。 “読む映画リバイバル『妖精の部屋 天使が濡れるとき』” の続きを読む

キネマ旬報で俳優・池松壮亮について、富司純子さんインタビュー他、書いてます

発売中のキネマ旬報8月上旬号で、以下記事が掲載されています。

・特集「スクリーンで遭いたい若手俳優」 池松壮亮

・特集「映画評論家50人に聞く、私が期待する5人の若手俳優」

・スペシャルインタビュー 富司純子

 

 

 

読む映画リバイバル『愛のむきだし』

“あっという間”の4時間。まさかパンチラ話にここまで深く感動させられるとは……

(2009年8月4日号より)

 初めに明かしておくがこの映画、えらく長尺で、およそ4時間近くもある。監督の園子温はといえば公開時、よく「体感時間は一瞬」と強気なコメントをしていたものだ。では実際はどうなのか。 “読む映画リバイバル『愛のむきだし』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』

音がつぶかり高まっていく。その昂進の果てに訪れる「アウトレイジ ビヨンド」の“喧噪的沈黙”。北野武映画のディテールを振り返り、そこに静寂への意志を読み取る

(2012年10月下旬号より)

原形質の映画

 ちょっと特殊な体験をしたことがある。「あの夏、いちばん静かな海。」の公開前、北野武監督の取材用に試写が行われたのだが、映画自体はほぼ完成していたものの、そこで見せてもらえたバージョンには久石譲氏の音楽が入っていなかったのだ。 “読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』” の続きを読む