読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』

音がつぶかり高まっていく。その昂進の果てに訪れる「アウトレイジ ビヨンド」の“喧噪的沈黙”。北野武映画のディテールを振り返り、そこに静寂への意志を読み取る

(2012年10月下旬号より)

原形質の映画

 ちょっと特殊な体験をしたことがある。「あの夏、いちばん静かな海。」の公開前、北野武監督の取材用に試写が行われたのだが、映画自体はほぼ完成していたものの、そこで見せてもらえたバージョンには久石譲氏の音楽が入っていなかったのだ。 “読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ゲゲゲの鬼太郎』

東映戦隊ヒーローものを彷彿とさせる、記念すべき初の実写版『鬼太郎』

(2007年8月14・21日号より)

 1922年3月8日生まれ。稀代の漫画家、水木しげるは現在、85才。今年はウエンツ瑛士主演で『ゲゲゲの鬼太郎』が映画化され、通算5度目のアニメ版も放映中。相も変わらぬ人気ぶりだが、 “読む映画リバイバル『ゲゲゲの鬼太郎』” の続きを読む

ネットサイト「ぐるなび」で映画評『ラサへの歩き方~祈りの2400km』がアップされています

ネットサイト「ぐるなび」の「エンタメレストラン」で、映画評『ラサへの歩き方~祈りの2400km』がアップされています。
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読む映画リバイバル〈日活映画を彩ってきた女優=ヒロインたち〉

(2012年10月上旬号より)

 50年代後半、石原裕次郎、小林旭らの活躍を契機に、日活は「男のアクション」の王国と化したが、では一方で、女優陣は単に、男たちの“彩り”に過ぎなかったのだろうか。 “読む映画リバイバル〈日活映画を彩ってきた女優=ヒロインたち〉” の続きを読む

読む映画リバイバル『歩いても 歩いても』

生々しいほどリアルな是枝流“家族論”。身内ゆえに愛おしく、厄介な家族の肖像

(2009年2月3日号より)

 先の正月休みで、帰省された方も多いかと思う。久々の団欒風景にホっとする反面、血族だからこその人間関係の煩わしさを再確認。ふと「家族って一体何だろ?」なんて、考えてもしまうわけだが、そんな人はぜひ、この『歩いても 歩いても』を観てみるといいだろう。 “読む映画リバイバル『歩いても 歩いても』” の続きを読む

読む映画リバイバル『主婦と性生活』

再検!日活ロマンポルノ

愛は金では買えません 金も愛では買えません

(1998年8月号より)

 セックスを金で売ったり買ったりすること。これは言うまでもなくセックスに、貨幣原理による“経済システム”が導入されるということだ。10万円で取引された セックスは、10万円で買える分だけの価値があり、わずか10円で取引されたセックスは、10円で買える分だけの価値しかない。 “読む映画リバイバル『主婦と性生活』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈原田芳雄ヒストリー〉

原田芳雄ヒストリー

(2011年10月号、原田芳雄追悼特集「映画俳優・原田芳雄の軌跡」内記事より)

 初めてナマの原田芳雄を間近で見たのは、今はなき名画座、大井武蔵野館でのトークショーだった。あれは90年代の初頭か。閏年生まれのこの名優を祝う「誕生日特集」が開催されていたのだ。 “読む映画リバイバル〈原田芳雄ヒストリー〉” の続きを読む

読む映画リバイバル『(秘)色情めす市場』

再検!日活ロマンポルノ

本当の「聖者の行進」とはこういうものだ!

(1998年6月号より)

 今回はひとつ、本作をめぐる極私的な思い出をザックリと語らせてもらおう。

 いまから10数年前。大学生の頃のことである。つまり80年代の半ば。学園祭の恒例オールナイト上映会のラインアップに、当時俺の所属していた映研はこの映画を潜りこませたのだ。 “読む映画リバイバル『(秘)色情めす市場』” の続きを読む

東映キネマ旬報、加藤泰監督特集で富司純子さんのインタビュー記事が掲載されています

フリーペーパー東映キネマ旬報vol.27(2016年夏号)の加藤泰監督特集で、富司純子さんのインタビュー記事が掲載されています。

 

ネットサイト「VICE」で綾野剛主演『日本で一番悪い奴ら』の映画評がアップされてます

ネットサイト「VICE」で、綾野剛主演『日本で一番悪い奴ら』の映画評がアップされてます。

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『日本で一番悪い奴ら』

チャカとシャブと青春群像──。
日本で一番悪い奴らが行き着くところ

読む映画リバイバル『ノーカントリー』

アカデミー4冠のコーエン作品。印象に残るのはやはり、あの“迫力ある顔”

(2008年8月5日号より)

 迫力のある顔、という言い方がある。「それってどんな顔?」と訊かれたら、この映画を観せるのが手っ取り早い。そこには、最凶の“殺し屋シガー”がいる。すなわち、名優ハビエル・バルデムが、バナナマン・日村勇紀のごとき面妖な髪形、容貌になって登場するのである。 “読む映画リバイバル『ノーカントリー』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈女優とヌードの誕生〉帰山教正の論考

女優とヌードの誕生

(2013年10月下旬号より)

 かつて、吾妻光(てる)という女優がいた。1898年生まれ、1980年に逝去。“吾妻光子”名義でも活動し、夫は作家の大佛次郎。彼女は1920年、映画「幻影の女」において、画家とつきあうも相手がプラトニック過ぎて別の男に靡(なび)く娘と、その捨てられた画家が孤島で幻視するヒロインの二役を演じた。大島ロケの海岸では「ほとんど全裸に近い姿態で登場」したことで知られ、日本初のヌードシーンを撮影した女優とも言われている。 “読む映画リバイバル〈女優とヌードの誕生〉帰山教正の論考” の続きを読む

キネマ旬報で『怒り』『永い言い訳』について書いてます

キネマ旬報7月下旬号、特集「キネマ旬報が選ぶみんなが観たい、いい映画55」の中で、『怒り』『永い言い訳』について短評を書いてます

読む映画リバイバル『(本)噂のストリッパー』

再検!日活ロマンポルノ

今年でケンちゃん37歳 いまも現役の俳優です

(1998年5月号より)

 たった1本の映画が――人生を思いも寄らぬ方向へと導いてしまうことがある。それは観客サイドだけでなく、もちろん製作者サイドにも起こりうる不測の事態だ。例えば『(本)噂のストリッパー』というこのロマンポルノ。かつて名子役として人気を博したひとりの俳優にとって、これはまさしく“運命の映画”なのであった。

 まだ〈チャイドル〉なんて言葉のなかった60年代。映画にTVに活躍し、7才のときから始まった主演作『ケンちゃん』シリーズでその俳優、宮脇康之はお茶の間のアイドルとなった。絶大なる人気ぶりといったらもう、ほぼ同年代の俺から見ても当時羨望のマトであった。シリーズの舞台が寿司屋、ケーキ屋、おもちゃ屋に、レストラン、そば屋、フルーツパーラーと毎回変わっていくのもステキで、
「カアチャン、なんで俺を“宮脇康之”に産んでくれなかったァ!」
 と恨めしく呟いたもんだが、さすがにシリーズ最新作『フルーツケンちゃん』の頃などは観ているはずもなく、
「まだやってんだ、ケンちゃん……」
 と、同情とねぎらいの気持ち。76年のことで、すでに15才になっていた。

『(本)噂のストリッパー』は堀越学園卒業後に、そんな宮脇康之が“脱=ケンちゃん”を目指して出演したロマンポルノである。監督には劇場デビューしたばかりの気鋭の森田芳光。イメージチェンジを図るには申し分のない企画だった。事実、映画の出来は良かったのだ。彼が演じてみせたのは、ストリッパー(岡本かおり)に片思いする純朴なアルバイト学生。別の女性を抱いて心の隙間を埋めていたのだが、そのストリッパーがマナ板ショーを始めたと知り、相手役に立候補。念願のセックスへと突入するものの向こうにとってはただのお仕事! 夢に生きる男の痛いところをクールに刺激する作品だ。

 宮脇康之、20才のときの大勝負。で、彼の自伝『名子役の虚構 ケンちゃんの真実』を繙いてみると、
「――略――よし、これが呼び水となって、再び仕事が入るようになるか。それとも芸能界から見放されることになるか。どっちか一つに賭けてみよう――略――」

 結果は見事に後者だった。作品にも彼にも罪はなかった。つまり、世の偏見に押しつぶされたのだ。

 それにしてもこの自伝、スゴイ内容です。帯からして
「芸能界史上最高の名子役の誰も知らなかった悲痛な舞台裏、ケンちゃんのイメージを守るためだけに、両親が離婚、兄が自殺未遂をしても、僕たちは最良の家族を演じ続けた…」

 チャイドル、必読の書である。

[ビデオボーイ掲載]
●監督:森田芳光●出演:岡本かおり、太田あや子、宮脇康之、他●1982年●日本

読む映画リバイバル『生贄夫人』

再検!日活ロマンポルノ

役所広司、黒木瞳主演によるもう一つの『失楽園』を夢想する

(1997年8月号より)

 久木祥一郎と松原凛子。
 この二人の名にピンときたアナタは『失楽園』ブームの一端を担ってきた方なのだろう。原作を読んだか、はたまた映画版を観たか。それぞれの家屋を犠牲にし、真実の愛とやらに殉じていく男と女。映画ではシンシンと雪が降りしきる中、役所広司と黒木瞳扮する〈祥一郎と凛子〉の、その道行きを貫徹するラストがまた、とりわけ深い余韻を残していた。

 それはそれでいいのだ。そんな風に美しく人生を諦められたら実に悦ばしいことではあろう。本当に。

 ところがここに、心中をしたにもかかわらず、そうは簡単には美しく死なせてもらえなかったカップルが存在する。『生贄夫人』の東てる美と影山英俊扮する若きカップルだ。

 山中に、仲よく並んで仮死状態にあった二人。それまでさんざんヒロインの谷ナオミを責めまくっていた、サディスト男に見つかったのが運のつきだった。女のほうは死姦されて息を吹き返し、廃屋に連れていかれ、のちに男がそこに自力で辿りつく。

 谷ナオミはサディスト男に訊ねる。
「やっかいなお荷物を背負い込んだものね。なぜ助けたりしたの?」「妬ましかった……」「妬ましい?」「顔がね、笑ってたんですよ。幸せそうにね。まるでもう、自分たちの愛を信じきっているといった顔で……」「死人に嫉妬するなんて……あなたらしいわ」

 そうして縛られ泣きじゃくる女に、谷ナオミが駄目押しでこう云う。
「どうして死んでしまわなかったの。……これから生き恥をさらすことになるというのに……」

 男がハッと目を覚ますと、自らは柱に括りつけられ、そこには縄化粧の恋人が、例のサディスト男に浣腸を一発お見舞いされるところであった。「 ウッー」という呻き越えとともに恋人の目の前で失禁する女。

 ホント、死んでおけば良かった。

 それにしてもドリフのコントではないが、もしも祥一郎と凛子の心中現場に、このサディスト男が現れていたなら――雪の上の浣腸――。

 それもまた、もうひとつの失楽園と呼ぶべき光景かもしれない。

[ビエオボーイ掲載]
●監督:小沼勝●出演:谷ナオミ、東てる美、坂本長利、他●1974年●日本

ガールズ&パンツァーWalkerで、『ガルパン劇場版』の映画評書いてます

発売中の雑誌、ガールズ&パンツァーWalkerで、『ガールズ&パンツァー 劇場版』の映画評書いてます

キネマ旬報NEXTvol.10で『セトウツミ』の映画評書いてます

発売中の雑誌、キネマ旬報NEXTvol.10で、映画『セトウツミ』(主演:池松壮亮、菅田将暉、監督:大森立嗣)の映画評書いてます。

読む映画リバイバル『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』

再検!日活ロマンポルノ

1975年産のオトナのための映画のおもちゃ

(2000年10月号より)

 人形にとり憑かれた男がいる。

 といっても、いっこく堂のことではない。医師だ。この『大人のおもちゃ ダッチワイフ・レポート』に登場する、北極調査隊の担当医(益富信孝)のことだ。 “読む映画リバイバル『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』” の続きを読む

『日本で一番悪い奴ら』白石和彌監督&音楽・安川午朗氏のトークイベント、ポッドキャストで配信中

モデレータを務めたイベント「Meet the Filmaker」にて、『日本で一番悪い奴ら』白石監督&音楽を担当した安川午朗さんが、映画の舞台裏や見どころについて語ったポッドキャストがApple storeにて配信中です