読む映画リバイバル〈『学校』シリーズを振り返る〉

俳優、映画ファンにとってのすばらしい“課外授業”シリーズ

(2000年11月号より)

 山田洋次監督の『学校』シリーズは、タイトルこそシンプルだが、中身のほうはとても滋味深い。何しろ「寅さん」と長年並走してきた山田監督である。さまざまな教育現場に目を向けつつ当シリーズは、教室を飛び出し、いたるところに転がっている人生の“課外授業”を毎回映しだしてみせてきた。 “読む映画リバイバル〈『学校』シリーズを振り返る〉” の続きを読む

読む映画リバイバル『タカダワタル的』

(2004年6月下旬号より)

 今から10年ほど前のこと。「PNDC/エル・パトレイロ」を携え来日した監督アレックス・コックスを迎え、青山墓地にて花見が開かれた。宴もたけなわの頃、ひとりの酔人が倒れるように路上で寝ているのを見た。高田渡だった――。 “読む映画リバイバル『タカダワタル的』” の続きを読む

読む映画リバイバル『市川崑物語』

巨匠に迫るドキュメンタリー。とはいえこれは“岩井映画”そのものである

(2007年7月3日号より)

 ’60年代生まれのクリエイターには、その影響を多大に受けた“市川崑チルドレン”が多い。なぜか? 物心ついた時分に市川監督の、金田一耕助シリーズ(’76〜’79年)と出会ってしまったからだ。

 そんなチルドレンのひとり、岩井俊二が『市川崑物語』を作った。 “読む映画リバイバル『市川崑物語』” の続きを読む

読む映画リバイバル『あの娘が海辺で踊ってる』

ダンスはうまく踊れない

(2013年1月下旬号より)

 「処女作」という言葉には、原語を直訳した適当さの中に、女性の性への“男性目線のトンチ”が含まれているようでいとおかし、なのだが、さらにトンチを利かせて「処女作」を劇場にかけてみせた例があった。 “読む映画リバイバル『あの娘が海辺で踊ってる』” の続きを読む

読む映画リバイバル『岸和田少年愚連隊』

(1996年5月下旬号より)

映画館の、決して多くはない観客(なぜなのだ!)であった女子高生たちは、幕が降りると「面白かったねェー。よく分かんなかったケド」とのたまった。

上等じゃねえか――。 “読む映画リバイバル『岸和田少年愚連隊』” の続きを読む

読む映画リバイバル『眠狂四郎 無頼剣』

私の雷蔵この1本〜狂四郎のネジれたキャラが顕著に表れている逸品

(2004年11月下旬号より)

 名刀・無想正宗から繰り出される眠狂四郎の“円月殺法”。刃先が完全な弧を描き終わるまで静観することは難しく、幻惑され数々の敵が倒されていった。 “読む映画リバイバル『眠狂四郎 無頼剣』” の続きを読む

読む映画リバイバル『女ざかり』

〜私の選ぶ吉永小百合映画、この1本〜

(2005年2月上旬号より)

 好きな小百合映画は60年代の日活時代に集中している。完成度に関しても。

 だがここは目先を変え、あえて近年の作品から選んでみたい。すると浮上してくるのが「あなたのシワを撮りたい」との大林宣彦監督のラブコールに応え、 “読む映画リバイバル『女ざかり』” の続きを読む

読む映画リバイバル『SR サイタマノラッパー』

世界的なラッパーを夢見るニート、空回りの末に見つけた自分だけのライム

(2010年6月1日号より)

 製作費はまったくもって低予算だが、6月末の公開映画のなかで、ファンの期待値がめちゃくちゃ上がっている新作がある。タイトルは『SR サイタマノラッパー2〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』。理由は記すまでもないだろう。その前作にあたる『SR サイタマノラッパー』が、あまりに素晴らしい青春ヒップホップ映画だったからにほかならない。 “読む映画リバイバル『SR サイタマノラッパー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『刑事物語』

ヌンチャクを手にした鉄矢は誰にも止められない!!

(2009年9月15日号より)

 人に歴史あり。かつて武田鉄矢は、日本を代表する“格闘技スター”であった。まあ’80年代の彼を知る者にとってはわりと、常識ではあるのだが、もしも信じられない方は、’82年の主演作『刑事物語』を観てみるがいい(初DVD化!)。一旦スイッチが入ってしまうと凶暴な、リーサル・ウェポンと化す片山刑事役での雄姿。ぜひ目の当たりにし、後世に語り継いでもらいたい。 “読む映画リバイバル『刑事物語』” の続きを読む

読む映画リバイバル『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』

バラエティ風を装いながら「スジを通して」人間の性(さが)を描く

(2010年11月下旬号より)

 “他人事の人生”を眺める裁判傍聴人

  知人から聞いたことがある。裁判の傍聴というのはとても面白い、と。そりゃあそうだろう。法廷室ごとに、大なり小なり、バラエティに富んだリアルな人間ドラマが展開されているのだから。 “読む映画リバイバル『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』” の続きを読む

読む映画リバイバル『全然大丈夫』

愛すべき不器用な登場人物を見ていると、「俺も大丈夫」という大らかな気分になれる

(2008年9月9日号より)

 何をもって『全然大丈夫』なのか。題名の意味を、この映画は前面には押し出してはこない。でも確かに観ていると、「全然大丈夫」という大らかな気分に。つまりこれはそういう御利益ムービーなのだ。 “読む映画リバイバル『全然大丈夫』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ガール』

中平康の後継!? ワザ師礼賛!

(2012年6月下旬号より)

 50円玉が宙を飛ぶ。それを見上げる人々。場所はとあるオフィスなのだが、なぜ、そんな事態が起こっているのかの説明は今は省く。とにもかくにもその硬貨は、放物線を描きながら、落下し始めるだろう。 “読む映画リバイバル『ガール』” の続きを読む

読む映画リバイバル『岸辺の旅』

黒沢清監督にとってラブストーリーの“ラブ”とは?

(2015年10月上旬号より)

 「俺、死んだよ」

 3年間、行方知らずになっていた男はある日、突然妻の前に姿をあらわして、そう口にする。 “読む映画リバイバル『岸辺の旅』” の続きを読む

読む映画リバイバル『海街diary』〈四姉妹ものの系譜〉

是枝作品と向田テイスト

(2015年6月上旬号より)

  日本映画には昔から、“姉妹もの”というジャンルがあって、なかでも四姉妹ものは、最も華やかでポピュラーだ。キャラの違う4通りの女性の生き方を描け、その時代を代表する女優たちが並び立つ、スター映画にもなっている。 “読む映画リバイバル『海街diary』〈四姉妹ものの系譜〉” の続きを読む

読む映画リバイバル『ハチミツとクローバー』

みうらじゅん氏も!? 過ぎ去りし青春を回想する人こそ、涙が止まらなくなる

(2007年1月2日号より)

 先日、ある企画でみうらじゅんさんを取材していたら、何かの拍子でこの映画『ハチクロ』の話になった。そういえば本作は美大が舞台。みうらさんは武蔵野美大出身だ。聞くところによると、見始めはバカにしていたが、途中の海のシーンでいつの間にか泣いていたという。 “読む映画リバイバル『ハチミツとクローバー』” の続きを読む

読む映画リバイバル『夢売るふたり』

“包丁の物語”の果てに……。

(2012年10月下旬号より)

  西川美和監督が『蛇イチゴ』(2003)でデビューして10年。そんな周期も関係するのか、この『夢売るふたり』はさながら“第2のデビュー作”のようである。つまり、 “読む映画リバイバル『夢売るふたり』” の続きを読む

読む映画リバイバル『ノルウェイの森』

囁きを聴く――『ノルウェイの森』の優れた“カヴァーアルバム”

(2010年12月下旬号より)

 えーと。何から書くべきか。そうだ! 『ノルウェーの森』が良かった。“ノルウェイの森”ではない。ビートルズの名曲『ノルウェーの森』。しかもレイコさん(霧島れいか)が劇中でギター弾きながら歌っているやつ。 “読む映画リバイバル『ノルウェイの森』” の続きを読む

読む映画リバイバル『あんにょん由美香』

これは女優・林由美香をめぐるドキュメンタリーというより、一人の男の“ラブストーリー”だ

(2010年3月2日号より)

 これは、ドキュメンタリー映画にして“消えた女”をめぐる探偵映画だ。どういうことか。“消えた女”のミステリーを解くカギとなるのは1本の古いVHSのビデオテープ。 “読む映画リバイバル『あんにょん由美香』” の続きを読む

読む映画リバイバル『愛のむきだし』

“あっという間”の4時間。まさかパンチラ話にここまで深く感動させられるとは……

(2009年8月4日号より)

 初めに明かしておくがこの映画、えらく長尺で、およそ4時間近くもある。監督の園子温はといえば公開時、よく「体感時間は一瞬」と強気なコメントをしていたものだ。では実際はどうなのか。 “読む映画リバイバル『愛のむきだし』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』

音がつぶかり高まっていく。その昂進の果てに訪れる「アウトレイジ ビヨンド」の“喧噪的沈黙”。北野武映画のディテールを振り返り、そこに静寂への意志を読み取る

(2012年10月下旬号より)

原形質の映画

 ちょっと特殊な体験をしたことがある。「あの夏、いちばん静かな海。」の公開前、北野武監督の取材用に試写が行われたのだが、映画自体はほぼ完成していたものの、そこで見せてもらえたバージョンには久石譲氏の音楽が入っていなかったのだ。 “読む映画リバイバル〈北野武映画/沈黙に、耳を傾けよ〉『アウトレイジ ビヨンド』” の続きを読む