読む映画リバイバル『太陽の傷』

三池崇史、哀川翔よりもバイオレンスなのは、少年法に守られた殺人犯である

(2007年1月23日号より)

 早くも話題沸騰、三池崇史監督の07年の新作『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(秋公開)。豪華キャストで全編英語ゼリフ、奇想天外、源氏vs平家のバトルを描く西部劇だとか。天下の鬼才ならではの賑々しさだが、さて昨年、三池作品にしては意外にも、ひっそりと劇場公開された映画があった。それがこの『太陽の傷』である。主役は哀川翔アニキ。『D.O.A.』シリーズや、あの“主演100本目”を飾った『ゼブラーマン』のゴールデンコンビが、いまどきの“少年犯罪の問題”に果敢にも挑んだ社会派ムービーだ。

 少年グループによる浮浪者狩りを諌めたサラリーマン、片山(=翔アニイ)が逆恨みを買い、愛娘を殺されてしまう。犯人たちは少年法に守られ、しかも仲裁時に片山がボコボコにしたため、被害者にもかかわらず彼はマスコミに叩かれ、妻は心労で自殺。それから3年が経ち——。

 と、ここからが本題で、犯人グループのリーダーが出所した事実を知った主人公の、地獄巡りが綴られていくわけだ。現行少年法では14歳未満には刑事処分を下せない。いわば彼らに“殺しの許可証”を与えているのではないか? と本作は主張する。なるほど、痛みを知らぬバイオレントな少年たちに対しては「初潮と精通を経た者は全員、大人と同じ扱いにしろ!」なんて暴言も吐きたくなる。とはいえ、翔アニイが子供たちをシメていく姿にも快感はない。正義だとしてもそれは暴力に過ぎないからだ。110本目となる哀川翔の主演作。鬼才・三池の底に眠っている、実は骨太なテイストを味わってほしい。

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殺人犯は未成年——1年8か月でその罪は消えた。愛娘を殺された男は、仮釈放扱いとなった少年の更生をその目で確かめようと街に戻るが……。少年法で守られた犯人とは反対に、マスコミの好奇の目にさらされ、しだいに追い詰められていく被害者家族の苦悩を描く社会派サスペンス。

[週刊SPA!掲載]
●監督:三池崇史●出演:哀川翔、佐藤藍子、風間トオル、勝野洋、松重豊、他●2006年●日本