読む映画リバイバル『犬神の悪霊』

長らく“封印”されていたカルト作。大和田伸也の鬼気迫る形相は必見なり。

(2007年7月17日号より)

 悪霊と書いて“たたり”と読む。’70年代のオカルト映画ブームが生んだ異形の怪作『犬神の悪霊』は、なかなか目にすることができず、好事家のあいだで語り継がれてきた“封印作品”だ。要約すれば“犬神憑き”を理由に迫害され、惨殺されてしまう一家の怨念話。昨年、都内の劇場で久方ぶりに上映され、DVD化も決まり完全解禁! 早速観てみるとこれが面白く……それでいてやはりディープな味わいのある映画だった。

 ウラン鉱の調査技師(大和田伸也)とその仲間がジープで山奥の古びた祠を壊し、一匹の犬を轢き殺したことから怪異譚が始まるのだが、村外れに追いやられ、忌み嫌われている一家への酷い仕打ちに映画はフォーカスを当てていく。この被差別に関する描写で、“封印作品”となってしまったのだろうが、差別と排除の問題、暴徒と化す民衆の怖さは、プチ『ホテル・ルワンダ』の趣きだ。そして、声を大にして言いたいのが大和田伸也のすごさ。最近の深夜テレビ『環境野郎Dチーム』でも常軌を逸しているが、本作では不条理な出来事の連続にギョロ目をかっ開いて、わめき、狂気の淵でのたうち回る!

 公開時、儀式の場面で生き埋めにした犬(本物)の首(作り物)を刎ねるシーンが、動物愛護団体から抗議を受けたという。今だと、チープな描写もけっこう目立つ。だが、元祖『さそり』シリーズの伊藤俊也監督の直球勝負、ラスト、野焼きにされながらの大和田伸也の鬼気迫る形相は、本作を封印しようとしていたものに対しての異議申し立てのようで、ちょいと感動的ですらあった。

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各地に伝わる犬神憑き、そして日本的な共同体の恐怖に肉薄した土着ホラー。『帰ってきたウルトラマン』の、“差別と排除”をテーマにした伝説の第33話『怪獣使いと少年』(’71年)にも匹敵する70年代トラウマ作品。劇中、美乳を披露するヒロインの泉じゅんと山内恵美子は、いまで言えば、綾瀬はるかと堀北真希級にカワイイ!

[週刊SPA!掲載]
●監督:伊藤俊也●出演:大和田伸也、泉じゅん、他●1977年●日本