『悪魔のいけにえ』というホラー映画があります。
チェーンソーが凶器。ただし、チェーンソーでの凶行シーンを具体的には見せません。劇中に音楽なし。当時この斬新なドキュメンタリータッチの演出に、ホラーファンのみならず映画ファンがうなりました。
いくつかの続編シリーズを経て、最初の『悪魔のいけにえ』に立ち返りリメイクされたのが『テキサス・チェーンソー』。
さらにその『テキサス・チェーンソー』のシリーズ作が、この『テキサス・チェーンソー ビギニング』ということになります、ふう。
てことで、『テキサス・チェーンソー ビギニング』から、シリーズをざっと振り返ってみます！
殺人鬼レザーフェイスよりも強烈！ リー・アーメイの軍曹ぶりは健在!!
マスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されている『悪魔のいけにえ』のリメイク、『テキサス・チェーンソー』の“以前の物語”。
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初めてトビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』（1974年）と出会ったときのことは忘れられない。
1980年代初頭、渋谷の雑居ビルの一室の有料ビデオ上映（輸入版）で観たのだが、秘密集会のごとき雰囲気と作品の異様さが合わさり、したたかノックアウトされたものだった。
あれから殺人鬼レザーフェイスとも長い付き合いになる。
レザーフェイスがチェーンソーで凶行しまくります。
続編をご紹介。まずは『悪魔のいけにえ2』。
『悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲』
『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』、そして3D上映となった『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』。
『レザーフェイス -悪魔のいけにえ』は2018年の映画。トビー・フーパーが亡くなる前に製作を担当した作品。
いくつかの続編が作られたが、2003年には『悪魔のいけにえ』がジェシカ・ビール主演で『テキサス・チェーンソー』としてリメイクされた。
本作『テキサス・チェーンソー ビギニング』はその前日譚。
監督はジョナサン・リーベスマン、出演はアンドリュー・ブリニアースキー、他。2006年の作品です。
人の皮をつなぎ合わせたマスクをかぶり、チェーンソーを振り回す殺人鬼はいかにして産まれ、異常な人格へと育っていったのか。映画は彼が出生した1939年に始まり、決定的な出来事が起こった1969年の数日間を白日のもとに晒していく。
……のだが、ところがこれ、『テキサス・チェーンソー』の強烈キャラ、R・リー・アーメイ扮するホイト保安官の誕生の映画でもあったのだ！
農民だった彼はいかにして保安官になりすまし、イカレ三昧を繰り返すようになったのか？ 彼の餌食となった若者たちを待ち受ける阿鼻叫喚、地獄の世界。だがどこか滑稽なのは、アーメイがかつての当たり役、『フルメタル・ジャケット』のキャラばりに鬼軍曹化し暴走するため。
『フルメタル・ジャケット』はスタンリー・キューブリック監督作、ベトナム戦争を題材にした映画です。
若造には突如「腕立て伏せ、10回！」と怒鳴り、一家の長老、モンティ叔父さんが片足を撃たれれば、「バランスが大事！」と両足切断をレザーフェイスに命じる。つまり本作で一番怖くて面白いのは、ホイト＝アーメイ軍曹の存在。人を喰い、主役までも食ってしまった……わけである！
ちなみに『悪魔のいけにえ』の監督トビー・フーパーは『ポルターガイスト』も監督してます。こちらもヒットしました！
週刊SPA!2007年4月3日発売号掲載記事を改訂！
