読む映画リバイバル『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』

男女の熱愛の先にある“絶望的な空虚さ”……船の映画では描きようもないシビアな現実

(2009年6月9日号より)

 レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが『タイタニック』以来11年ぶりに共演!

 というわけで、この『レボリューショナリー・ロード』は、『タイタニック』をデートで観た世代、さらには付き合いを深め、結婚にまで至ったようなカップルたちにお薦めする。

 ただし、サブタイトルにある「燃え尽きるまで」の意味を誤解してはいけない。これはスウィートな恋愛映画などではなく、男と女が「燃え尽きるまで」トコトンぶつかりあう、世にもハードな愛憎ドラマなのだから。観れば、11年という時の流れと共に、我が身……自らの人生をそこに重ね合わせてしまうに違いない。

 本作でディカプリオとウィンスレットが演じているのは、郊外の閑静な住宅街に住み、子供にも恵まれた夫婦。一見幸せそうだが、またも二人は沈みかけた“船”に乗っている。たびたび、家庭に充満するいたたまれない空気。さすが『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス監督である。底意地悪くも、「もし『タイタニック』の美男美女カップルが生き延びて、家庭を持ったら、こんなふうになるんじゃね?」と、男と女の熱恋の先、その行く末をシビアに描きだしているのだ。

 主人公の二人は“絶望的な空虚さ”を日々感じており、「自分たちは特別な存在。ここではないどこか別の場所に本当の自分の幸せがある」と思ってもいる。舞台は’50年代のアメリカだが、このメンタリティは現代人にも通じるもの。映画は容赦なく男と女の「心理/真理」をえぐっていき、後半はほとんどホラー映画の如し。大ゲンカのあとの“静かな朝食シーン”の不気味は怖さといったらもう、筆舌に尽くし難い。

 そして、構成面で一番凄いのは、二人のエピソードが、オチのための壮大なネタフリにも見えるところ。単なる脇役と高を括っていた不動産屋のオバサン(『タイタニック』に出ていたキャシー・ベイツ!)と老夫が織りなすシニカルなラストシーン……それを観ればあの船の映画が描かなかった、リアルな人生のサバイバル術を授けてもらえるだろう。

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原作はリチャード・イエーツの小説「家族の終わりに」。郊外の新興住宅地“レボリューショナリー・ロード”に居を構えた、結婚7年目の夫婦の“愛の終着点”を綴る。二人の生活の欺瞞を突く、精神を病んだ青年役、オスカーにて助演男優賞にノミネートされたマイケル・シャノンもいい味。ちなみにサム・メンデス監督は、ケイト・ウィンスレットの実の夫!

[週刊SPA!掲載]
●監督:サム・メンデス監督●出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、他●2008年●アメリカ