読む映画リバイバル『レス・ポールの伝説』

レス・ポールといえばエレキギター……だが彼の偉大さを皆はどこまで知っている?

(2009年12月30日号より)

 レスポール・モデルのギターといえば、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジらが手にしてきたロック史上の財産。ところでそれが、一流ギタリストにして、稀代の発明家の名前だと知っていたか? このドキュメンタリーは、貴重なアーカイヴ映像を織りまぜつつ、レス・ポール本人が自らの足跡を振り返っていく好企画だ。

 ざっと彼の偉業を記すと、’50年にギブソンと契約を交わし、’52年には最初のソリッド・ボディ型のエレキギターを発表。前年、’51年は妻のメリー・フォードとのデュオ、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」が全米1位を獲得し、「世界は日の出を待っている」とともに空前の大ヒットに!

 さらに、レコードのカッティングマシーンを自作、多重録音を可能にした功績が重要だ。世の人間は、何も考えずにスイッチを押して電気をつけるヤツと、なぜ電気がつくのかを調べるヤツとの2種類に分かれるが、レス・ポールは断然、子供時代から後者のようなタイプだったのだ。

 93歳になった今でも、毎週月曜日、NYのジャズ・クラブでライヴに励む現役のギタリストでもある。冗談好きのカッコいいジジイ。このライヴ映像がまたイカしている。そして、感動的なのが、レス・ポールを称賛する“後輩たち”の姿。ポール・マッカートニーにエディ・ヴァン・ヘイレン……ライヴのゲストにも呼ばれたキース・リチャーズは、こんな賛辞を残している。「彼は俺たちに最高のオモチャを与えてくれた」。いまだプレイする最高の“オモチャ職人”の雄姿を瞼に焼き付けておこう。

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1915年6月9日(=ロックの日!)生まれ。’30年代より音楽活動を開始。ヒット曲多数、5度のグラミー賞を受賞し、’05年には8トラック・テープレコーダーやギブソン・レスポールの功労により、ミュージシャンとして唯一「発明家の殿堂入り」した偉人のドキュメンタリー映画。アメリカの芳醇なポップミュージック史も同時に楽しめる。

[週刊SPA!掲載]
●監督:ジョン・ポールソン●出演:レス・ポール、ジェフ・ベック、他● 2007年/アメリカ