読む映画リバイバル『あそばれる女』

再検!日活ロマンポルノ

この映画自体も不条理な展開がビックリです

(2000年4月号より)

 世の中というものが不条理な、「何でそーなるの?」的な出来事の連続であることは今さら言うまでもない。が、それにしても最近、「腹が減ったので鼻の穴に浣腸した」式の、一段と理解不可能な事件が多くなった。もちろん被害にあった当事者の心中は、「何でそーなるの?」どころでは収まらないわけだが、一方野次馬な我々はといえば、好奇と一抹の不安の目で事態の推移を眺めたりしている。で、出来ることなら「何でそーなるの?」の「何で」の部分を探ってみようともする……のだけれど、納得のいく理由などそう簡単に見つかるはずもなく、不気味な「何でそーなるの?」感ばかりが心の底に沈殿してゆく。そうして「明日はわが身?」とおののき、しまいには人間の“心の闇”とやらを我々に考えさせるべく犯人は事件を起こしたような気さえしてくる。つまり犯人の代わりに、その理不尽な行為と釣り合うだけの理由を探さねばならなくなるのだ。

 これは本末転倒だろう。無理だし、とても不健康な話である――てなわけで、ここでようやく本作の登場と相成る!

 ヒロイン(風間舞子)は、夫の留守中家に押し入られ、見知らぬ男に犯される。男は「恨むならダンナを恨みな」と言い残して去っていった。すると次の日その男はカミさんとともに現れ、一緒についてくれば「犯した理由を話す」と家に招く。そこは二人が経営する葬儀屋だった。

 ついに葬儀屋夫婦のリベンジの真相が明かされるときがやってきたのだ。
「夫婦交換ってご存じ?」とカミさんが口火を切り、続いて男がブチ切れる。

「汚ねえじゃねえか! オレにだけ女房を提供さしといて、あんたのダンナは女房じゃなく、安っぽい浮気の相手連れてきやがった! これが許せるかよ!」

 なるほど、ヒロインの夫は妻と偽って、他の女をスワッピングの席に連れていったのだ。こりゃ怒るわな。

 が、ヒロインは抗弁する。
「でも……私とは関係ない……」

 うん、これも正論である。だが男はすかざずこう言い放つのだ。
「ダンナのルール違反は奥さんに償ってもらわなきゃな!」

 決定打だ。無茶苦茶な理論ゆえに反論はもはや無効。再び辱められ、家に戻ってケツから流れる血にさめざめと泣くヒロイン。

 で、結論――。理不尽な事件を起こした者の動機など探ってもムダ。トンでもない原因と結果の因果関係が成立するだけだ。だから決して本気で「何でそーなるの?」とは考えてはいけない。それもまた世の不条理、各自、呪殺すべし。

[ビデオボーイ掲載]
●監督:小沼勝●出演:風間舞子、高原リカ、梓ようこ、他●1981年●日本