こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上！
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
監督：曽根中生
出演：宮下順子、片桐夕子、山科ゆり、梢ひとみ、坂本長利、榎木兵衛、長弘、島村謙次、谷本一、雪丘恵介、浜口竜哉、清水国雄、小林亘、叶今日子、二條朱実、丘奈保美、大山節子、ひろみ麻耶 脚本：武末勝
野呂圭介もどっきりの元祖・荒唐無稽なお色気「くノ一忍法帖」！
(轟夕起夫）
伝家の宝刀とでもいうのか、それを出されただけで全てが丸く収まってしまう、「水戸黄門」の印籠にも匹敵するスゴい小道具がかつてあった。
「どっきりカメラ」の看板である。
息長いですね「どっきりカメラ」。現役ですね。
「どっきりカメラ」のはじまりは、日テレバラエティ「なんでもやりまショー」（1969年〜）のワンコーナー。宍戸錠さんが司会でした。
赤いヘルメットをかぶり、それを持った仕掛人の野呂圭佑が、
「どうもォ、どっきり、でェーす！」
と登場するや、全てが「めでたしめでたし」となってしまうゲームの規則。
ちなみに野呂圭介さんの俳優デビュー作は遡り、鈴木清順監督の『踏み外した春』（1958年）でした。
手の込んだ罠でダマした側もダマされた側も、それからお茶の間の視聴者も、みんながみんな、条件反射的に「ワハハ」と笑ってコトを済ませる大団円。
『どっきりカメラ』と書かれた看板は、目の前の“オーマイガッ”な状況を一瞬にして消しさる、魔法の杖のひと振りであった。
「どっきりカメラ」は人気で、番組が変わってもコーナー企画として残っていったため、顔だった野呂圭介さんのどっきり歴は19年！
ドラえもんでも「ドッキリビデオ」ってエピソードがあります。カメラを向ければドッキリすることが起こる機材と、見せれば何でも許してもらえる「ドッキリ大成功」と書かれたプラカードがセットでした。
さて、この『くノ一淫法 百花卍がらみ』。
観ている間、俺を何度も野呂圭介が襲った。といっても俺の心の中に住む野呂圭介だが。そいつが映画のアンビリーバブルな展開に、いちいち「どっきり！」とツッコむツッコむ。それくらい馬鹿馬鹿しさに満ちた作品であるのだ、コレは。
念のため注！ 野呂圭介さんは、本作には出演されてませんし、関係もありません。
「くノ一忍法帖」は、元は山田風太郎の時代小説で、忍法帖シリーズのひとつ。これを原作に様々なドラマが作られてます。
とにかく元祖「くノ一忍法帖」ポルノと呼ぶべき逸品である。
主演宮下順子をはじめ片桐夕子、梢ひとみ、山科ゆり、叶今日子、大山節子といった初期日活ロマンポルノのスターたちがくノ一に扮し、秘所からシャボンを出して敵を幻惑させるわ、とり餅のような白濁汁で石膏を造り、相手の顔タクをとってそれに化けてしまうわ、ご存知“具合わせ”で胎児を腹から腹へと移してしまうわ、精を吸いつくし、男を昏睡に陥れるはと淫術の数々が炸裂！
これでもかあこれでもかあと伊賀VS風魔の忍者“性技”合戦を披露したり、もうあまりの荒唐無稽さに、思わず座りションベンしたくなる。そのたびに俺の心の中には「どっきり！」野呂圭介の登場と相成るわけである。
確認事項。野呂圭介さんは登場しません。
「くノ一忍法帖」を原作として、まずは東映が映画化（『くノ一忍法』1964年）しましたが、この日活映画公開後はエロティック度が強化された作品が続出、今も続いています。
最近ではこんな異色作が出現。ソフトセクシーなアクション連続ドラマ、ベッキー主演、『くノ一忍法帖 蛍火』（2018年・BSジャパン）。とはいえこちら、タイトルこそ「くノ一忍法帖」ですが、山田風太郎の「忍法双方の鷹」（1969年）が原作となります。
『どっきりカメラ』といえば1997年、Kinki kids司会（しかしなぜ彼らなのだ？）による『スターどっきり大作戦』（CX系）もあったが、やはり何事も元祖が偉い！
ラスト、宮下順子の腹から出てくる（つうか飛び出す）胎児の姿に貴方も「どっきり！」して下さい。以上。
ビデオボーイ1997年9月号掲載記事を改訂！
『くノ一淫法 百花卍がらみ』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。（2021年7月2日まで）。Amazonプライムビデオではレンタルタイトル！（いずれも2020年10月現在情報）
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